アメリカの宇宙開発が後退!? ボーイングの宇宙船「スターライナー」にトラブル…NASA「我々が最も重んじるのは安全」

AI要約

NASAは2人の宇宙飛行士を来年2月に別の宇宙船で帰還させることを決定

ボーイングの宇宙船「スターライナー」の打ち上げから帰還までのトラブル

NASAが安全を優先し、スペースX社の「クルードラゴン」に宇宙飛行士の帰還を依頼

アメリカの宇宙開発が後退!? ボーイングの宇宙船「スターライナー」にトラブル…NASA「我々が最も重んじるのは安全」

 「NASAは2人の宇宙飛行士を来年2月に別の宇宙船で帰還させ、スターライナーは無人で帰還させることを決定した」(NASA・ネルソン長官)

 歯車が狂い始めたのは打ち上げ前からだった。

  2人の宇宙飛行士を乗せ、6月5日にフロリダ州から打ち上げられたボーイングの宇宙船「スターライナー」。しかし、ヘリウムが漏れる不具合により何度も打ち上げが延期された末の出発だった。

 ISS(国際宇宙ステーション)に到達するまでにエンジン28基のうち5基が突然停止し、ヘリウム漏れも続いた。

  その結果、スターライナーは地球に安全に戻れる見込みが立たなくなり、当初は8日程度で帰還する予定だった宇宙飛行士はISSに足止めされてしまった。

  そんな中、ボーイング社は「私たちは宇宙飛行士を乗せて安全に帰還する能力に引き続き自信を持っています」とコメントしていた。

 しかし、安全性への懸念は拭い切れず、NASAは24日に宇宙飛行士を乗せての帰還を断念した。

 「2人を国際宇宙ステーションに残し、ボーイングのスターライナーを無人で帰還させるという決定は、安全を考え尽くした結果だ。我々が最も重んじ目指すのは安全だ」(NASA・ネルソン長官)

 代わりに選ばれたのが、イーロン・マスク氏率いるスペースX社の「クルードラゴン」だ。実績のある宇宙船だが、宇宙飛行士の帰還は2025年2月になる見込みであり、8日間の予定だった宇宙滞在は8カ月間に延びることになる。

 「私たちはたくさん訓練を積んできたので、スペースXの宇宙船で問題なく帰還できると確信している」(スニ・ウィリアムズ宇宙飛行士)

 スペースシャトルの引退後、ボーイングとスペースXの2社に宇宙船の開発を委託していたNASA。2社を競わせることで技術革新やコスト削減を目指していたが、今回の事態はアメリカの民間主導の宇宙開発戦略に大幅な計画の練り直しを迫る可能性がある。

※これはテレビ朝日「グッド!モーニング」で放送した内容をABEMA TIMES編集部で記事化したものです。