ヘンリー王子とメ―ガンさんがコロンビア訪問 「大成功」の夢から覚めるか?!

AI要約

ヘンリー王子とメーガンさんが急遽コロンビアを訪問し、政府のスキャンダルから国民の目をそらすために利用されたと言われている。

メーガンさんは英王室を離れて国際的に有名な存在を示したが、コロンビア訪問は一般市民にとっては疑問の残るものであった。

ヘンリー王子夫妻の辞任ラッシュや関係者との軋轢が報じられ、今後の展開が注目されている。

ヘンリー王子とメ―ガンさんがコロンビア訪問 「大成功」の夢から覚めるか?!

 ヘンリー王子(39)とメーガンさん(43)が8月15日から4日間、南米コロンビアを訪問した。当初は、11月7日と8日に首都ボゴダで開催される初の「児童への暴力根絶に関する世界閣僚会議」に合わせての訪問で、今秋とされていたが急きょ早まった。

■急きょ早まったコロンビア訪問

 招待状を送ったのはコロンビア初の黒人女性副大統領フランシア・マルケス氏だ。彼女はネットフリックスのドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン」を見た後、「メーガン妃を招かないといけない」と決心したそうだ。番組に心を強く揺さぶられ、「彼女のストーリーは世界の多くの女性に力を与える」と思ったという。

 しかし、それだけが理由ではなく、コロンビア政府の苦しい事情も絡んでいる。2022年、コロンビア初の左派政権が誕生した。元左翼ゲリラのグスタボ・ペトロ大統領は就任後、貧困と不平等の撲滅を掲げ、税制や年金制度の改革に乗り出した。しかし、国民の期待に応えるには程遠く、側近による不祥事が続いたうえ大統領の長男がマネーロンダリング(資金洗浄)と不正蓄財容疑で逮捕されてしまった。こうした政府のスキャンダルまみれの状態から国民の目をそらすのが、ヘンリー王子とメ―ガンさんを招いた目的とささやかれている。2人は、政府の便利な「政治の駒」として利用されたというのだ。

 そんな内情がある一方、メーガンさんにも今回の招待を歓迎する理由があった。王室離脱時に、メーガンさんは「英王室は私には小さすぎる。好きな言葉は“グローバル”」と考えていたのだ。常々、英王室に対して、自分がどれほど世界から求められているか、国際的に有名なスターなのかをみせつけたいと考えているからだ。

■ナイジェリア訪問に続く”ロイヤルツアーもどき”

 4日間の滞在中、2人はネットいじめなどについてのフォーラムに参加。同時に、コロンビアの伝統文化にも触れた。訪れる先々で握手を続け、ダンスを鑑賞し、子どもたちとクルミの木を植樹した。

 ”ロイヤルツアーもどき”であることは5月のナイジェリア訪問と変わらない。ただ、コロンビアのセキュリティの厳重さは驚くほどだった。ヘリコプタ―にドローン、約3000人の完全武装警官と兵士が2人の行く先々でものものしい姿を見せ周囲を圧倒した。 

 最終日、カリの町でメーガンさんはスピ-チをした。滞在中、何度も衣装を替えて人々の前に登場したが、この時は約32万円のスパンコールのミディスカート。足を組み、冒頭部分はスペイン語で話した。中高校生の時にスペイン語を学び、大学卒業後はインターンとしてアルゼンチンのアメリカ大使館で働いたことがあることに触れ、「私のスペイン語は完璧ではないかもしれないが、ここではスペイン語を話したい」と額の汗を手の甲でぬぐうジェスチャ-をすると会場から歓声と拍手が起きた。

 2人はコロンビア訪問は「大成功」と繰り返している。確かに、歓迎されたようにも見えるが、デイリーメール(オンライン)は「一般コロンビア人は二人はなぜ来たか、そもそも彼らは誰なのか、自分たちに何をしてくれるのかといぶかしがった」と伝えている。

 アメリカに戻った二人に良いニュースは少ない。コロンビア訪問直前に、首席スタッフのジョシュ・ケトラー氏が辞任した。わずか3カ月の在任だった。彼は、カリフォルニア州の人工知能の開発で知られる企業から転職し、責任感も能力も折り紙付きで、就任時はヘンリー王子を次のステップに導くガイド役に最適とされていた。ナイジェリア訪問にも、ロンドンでのインビクタスゲーム10周年記念礼拝にも同行していた。

 ヘンリー王子とメ―ガンさんは、ケトラー氏の雇用は「試験的なものだった」と説明しているが、関係者は正式雇用であると否定。また、ケトラー氏の辞任は、ヘンリー王子夫妻とケトラー氏の「合意の結果」であるとも説明されたが、疑問の声が上がった。昨年、メーガンさんが番組制作・配信大手のスポティファイから突然、契約を打ち切られた時、メーガンさんは「双方の合意の結果」と同じ文言を使用したからだ。20年末に約2000万ドル相当(約28億円)で契約し、大きな話題となっていたが、結局12エピソードで構成されたシーズン1のみで打ち切られた。

 今回辞任したケトラー氏で、辞任したスタッフは18人となった。これまで2人の元を去ったスタッフたちは「二度と二人と一緒に働きたくない」と口をそろえていて、「サセックス・サバイバーズ・クラブ」にまた一人加わったと言っているという。果たして、ケトラー氏に代わる新たなスタッフは見つかるのだろうか。

 何かと騒がしい2人だが、先日、ショックを受けるようなニュースがあった。兄のウィリアム皇太子(42)が、いつか来る自分の戴冠式に「弟は招かない」と友人に明言したという。また、アメリカ大統領選挙に向け、19日からシカゴで開かれた民主党の全国大会にメ―ガンさんは講演者として登壇を切望したが、かなわなかった。二人が「大成功」と繰り返すコロンビア訪問の夢から覚める日は近い。

(ジャーナリスト・多賀幹子)

*AERAオンライン限定記事