「ロシア国旗の日」 親プーチン派歌手のライブにファン熱狂

AI要約

ロシアの国旗を掲げ、国旗柄のTシャツ姿でモスクワの「赤の広場」に登場したポップ歌手シャーマンさんにファンが大歓声。22日の「ロシア国旗の日」に愛国心を鼓舞するイベントでコンサート開催。

シャーマンはプーチン支持者から絶賛される一方、批判も受ける。愛国心の象徴として位置づけられ、ウクライナ侵攻に関連した歌やパフォーマンスで注目を集めている。

ファンたちはロシアの団結を願い、シャーマンのライブで勝利を祈る。シャーマンの活動は賛否両論があるが、支持を集めつつある。

【AFP=時事】ロシアの国旗を掲げ、国旗柄のTシャツ姿で首都モスクワの「赤の広場」の特設ステージに登場したポップ歌手のシャーマン(Shaman)さん(32)にファンが大歓声を上げた──。

 ウクライナ侵攻開始から約2年半がたった今、愛国心を鼓舞できると当局が期待するイベントの一つが、22日の「ロシア国旗の日」に開催されたシャーマンさんのコンサートだ。

 数理工学者だという70歳の女性は22日、赤の広場の入り口でAFPの取材に応じ、「彼が好きだから来た。何年もコンサートに通っている。このイベントを見逃すわけにはいかなかった」と語った。ウクライナ侵攻の戦線にいる兵士らにも言及し、「特別軍事作戦の参加者の士気を高める歌だ」とも述べた。

 シャーマンさんは、クレムリン(ロシア大統領府)に批判的な人々からは嘲笑されているが、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の熱心な支持者からは絶賛され、プーチン政権が社会のあらゆるレベルで推進する愛国心の象徴となっている。

 美術教師だという女性(48)は「シャーマンがやるすべてのこと、すべての行動は私たちの国、ロシアのためのものです」と話した。

 ライブの最中、シャーマンさんはウクライナ侵攻で父親を亡くした少年をステージに招いた。「彼は11歳かもしれないが、すでに男だ。そして彼の家族で唯一、残った男だ」と語ると、聴衆は静まり返って聞き入った。

■「ロシアは勝つ」

 印象的な金髪と愛国的な服装がトレードマークのシャーマンさん。本名は、ヤロスラフ・ドロノフ(Yaroslav Dronov)。2022年2月、ウクライナ侵攻開始直前に軍をテーマにしたバラード「Rise Up」をリリースし、一躍有名になった。ロシアのSNSでのフォロワー数は数十万人に上る。

「Rise Up」のヒット以来、シャーマンさんはプーチン政権を全面的に支持し、政府主催の数々の集会で歌い、ウクライナで戦う兵士らを応援するミュージックビデオをリリースしてきた。

 2024年6月にはロシアが支配するウクライナ領内で、侵攻を支持するイベントに参加し、公演を行ったことが問題視され、欧州連合(EU)から制裁を受けた。

 2022年のシングル「Ya Russky(「私はロシア人」)」はインターネットミームとなり、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」で数百万回の視聴回数を記録したが、彼のチャンネルは後に削除された。

 集まったファンたちはAFPに対し、22日のシャーマンさんのライブでロシア人が団結することを願っていると語った。ロシア国旗を描いたフェースペインティングをした女性(53)は「そうすれば勝利は近づき、私たちのものになる」と言った。【翻訳編集】 AFPBB News