世界の航空会社が続々と中国から撤退しているわけ

AI要約

中国市場からの撤退が相次ぐ外国航空会社の理由として、コストの上昇と利益減少が挙げられている。

ウクライナ侵攻以降、欧米航空会社はロシアの領空を避ける必要があり、中国への便は距離が延び、燃料追加と積載量の制限が課題となっている。

需要不足が外国航空会社の中国撤退の真の理由であり、中国の航空会社が市場シェアを拡大している状況が続いている。

世界の航空会社が続々と中国から撤退しているわけ

7月、英航空会社ヴァージン・アトランティックが、上海~ロンドン便の就航中止を発表した。25年間にわたって中国への就航を続けてきた同社だが、これによって中国市場から完全に撤退する。

シンガポール紙「聯合早報」は、ここ数ヵ月で同様の決断を下した航空会社をリストアップして報じる。8月初旬には、同じく英国のブリティッシュ・エアウェイズが1年間のロンドン~北京便の運休を発表した。その1ヵ月前には、ロイヤルブルネイ航空が10月末からの北京発着便の一時運休を決め、オーストラリアのカンタス航空も7月末以降、シドニー~上海便を運休している。

こうした外国航空会社の撤退について、現地メディアは「コストの上昇と利益減少が原因」だとしている。

中国のオンラインメディア「界面新聞」は、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以来、欧米航空会社はロシアの領空を飛べなくなったとし、その結果、欧米から中国に向かう便は、ロシア上空を飛行する権利を持つ中国の航空会社よりも、長距離を飛行しなくてはならないと伝える。

また、飛行時間の延長は燃料の追加も意味する。航空機には最大積載量の制限もあるため、追加燃料の搭載は、人や貨物の輸送に利用できる重量の減少に繋がる。

しかし、多くの専門家は、外国航空会社の中国撤退の本当の理由は「需要不足」だと見ている。

旅行メディア「LuJie」は、「航空便の供給は(新型コロナウイルスによるパンデミック前の)100%まで回復しているが、需要は3分の2しか戻っていない」と話す、カンタス・インターナショナルのCEOキャム・ウォレスの言葉を引用する。

さらに、中国の航空会社がウクライナ侵攻を利用して市場シェアを拡大しているという事実は、海外の競合他社の注目を集めている。

米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」は、4月、米大手航空会社と航空組合が政府に宛てた書簡で、航空市場における不均衡を訴え、「中国航空会社によるこれ以上の就航を許可しないよう」要求したと報じる。