トランプ陣営の弁護士がハッキングの標的に、イラン関与か　情報筋

（ＣＮＮ）　トランプ前米大統領の弁護士の１人、リンジー・ハリガン氏がハッキングの試みの標的になったことが分かった。事情に詳しい情報筋３人がＣＮＮに明らかにした。米国の複数の情報機関は１９日、トランプ陣営への最近のハッキングにイランが関与したと結論付けたことを明らかにしており、深刻な新事態となる可能性がある。

情報筋の１人はＣＮＮに対し、ハリガン氏はイランによるハッキング工作の一環で狙われたと指摘したが、工作の時期や、ハリガン氏の端末やアカウントがどの程度侵入を受けたのかは不明。大統領選を数カ月後に控え、連邦捜査局（ＦＢＩ）は重要度の高い捜査を続けている。

ＣＮＮは先日、イラン人と疑われるハッカーがトランプ氏の長年の協力者、ロジャー・ストーン氏の個人メールアカウントに侵入し、同氏のアカウントを利用して他の選挙陣営幹部のアカウントへアクセスを試みたと報じていた。

ハリガン氏は数年前からトランプ氏の弁護チームに加わっており、当初は機密文書問題に注力していた。最近では共和党全国大会に参加。トランプ氏が演説を行った最終日の夜には、最前列のＶＩＰ席に座る姿が見られた。

ハリガン氏は他の弁護士ほど対外的な存在感はないが、内部では「トランプ氏に耳打ちできる存在」と見られているという。ハリガン氏の元同僚の１人がＣＮＮに明らかにした。トランプ氏はハリガン氏を信頼しており、重要な局面で同席を求めることが多い。トランプ氏への伝言を依頼するため、ハリガン氏に頻繁に頼る関係者もいるという。

ハリガン氏は以前、弁護チームの他のメンバーと共に司法省でのハイレベル協議に参加したこともある。

トランプ陣営の広報責任者を務めるスティーブン・チャン氏はＣＮＮへの声明で、「イランのテロ政権がトランプ大統領のチームにハッキングを試みたとの一連の報道は、ペンシルベニア州バトラーでの悲劇と同時期にイランがトランプ大統領の暗殺を企てていたことが最近発覚した後に浮上した」と指摘した。

ＦＢＩはコメントを控えた。

ＦＢＩや他の米情報機関は１９日、トランプ陣営を狙ったハッキング工作の裏にイラン政府がいたと米政府が結論付けたことを確認。バイデン大統領とハリス副大統領の選挙陣営も狙われたとの見解を明らかにしていた。

イラン国連代表部は１９日、イラン政府がハッキングに関与したとの「裏付けのない」主張を退けた。

トランプ陣営はこのハッキングに関してＦＢＩと連絡を取っており、先日にはＦＢＩの暫定捜査結果について報告を受けた。ただ、トランプ氏のＦＢＩへの不信感の大きさを考えると、両者がどれだけ密接に協力しているかには疑問がある。