世界「ワルを見抜く」眼力を持った「江戸時代の知の巨人」が参考にしていた「中国の書物」

AI要約

幕末期の指導者吉田松陰の慧眼を思い出し、現代の世界のワルや隣国の脅威に対し適切な対応策を考える必要性が語られている。

現代の日本が必要とするのは『孫子』を通じた悪の論理の理解と再学習であり、国際政治評論家の宮崎正弘氏が提言している。

日本が情報戦争で置かれた立場や軍事力の不足についても言及され、日本の外交力強化の必要性が論じられている。

世界「ワルを見抜く」眼力を持った「江戸時代の知の巨人」が参考にしていた「中国の書物」

動乱の幕末期には、吉田松陰のように世の中のワルを見抜く慧眼(けいがん)の指導者がいたことを思い出せ。

現代はワルだらけの世界。そしてまずいことに日本の隣国にはやっかいな国がひしめいている。いまこそ相手の戦術・戦略を見抜き、対応策を考えるという、現代日本人が喪失している考え方を理解し直す必要がある。

そんないまの日本に必要なのは「悪(ワル)の論理」の教科書でもある『孫子』を再検証し、学習し直すことではないだろうかと、日本を代表する中国ウォッチャーである国際政治評論家・宮崎正弘氏は語る。

※本記事は、『悪のススメ―国際政治、普遍の論理』より一部を抜粋編集したものです。

吉田松陰には世の中のワルを見抜く炯々たる眼力があった。

世界に賢き人は多いが、クレバーとワイズの二種のタイプがある。欧米や中国の「賢さ」は上に「ズル」か「ワル」が付く。日本人と異なって「ズル賢い」か「ワル賢い」のである。クレバー(聡明)な人は発言してもメディアが取り上げない。

アメリカにも日本にも真の意味での言論の自由は希薄である。

とくに日本は国際政治の表舞台にありながら情報戦争で蚊帳の外に置かれている。先進7カ国の重要なメンバーと煽てられてはいるが、裏情報を貰えないのに財布だけあてにされ、「ウクライナ復興会議」とやらを東京で開催させられた。まさに「アメリカのATM」だ。

日本のカネだけをあてにされた。ところが協力したクウェート戦争では135億ドルも召し上げられたのに感謝広告から除外された。挙げ句、欧米の尻ぬぐい(掃海)までやらされた。

勝手にワルたちは戦争を始め、人権を叫びながら実際には戦火をまき散らし、人々をどん底に陥れた。ワルたちはその責任を他に押しつけて平然としている。

能登の災害復旧を後回しにして遠い国の、それも日本とは無縁の人たちがやらかしたウクライナ戦争の荒廃の後片付けをなぜやらされるのか? それもこれも日本にはまともな軍事力がないからである。インドは核兵器を保有しているから外交はフリーハンドである。外交力とは情報と軍事力に裏打ちされているのだ。