ガザ停戦交渉、米高官「最終局面」 合意ならイランは報復見送りか

AI要約

カタールでの協議にて、米国がイスラエルとハマスに新たな停戦案を提示し、エジプトで再協議することが決定。

米政府高官は、協議が建設的であり、停戦に向けて合意が近いと述べる。バイデン氏もこの見方を支持し、重要な進展があったことを確認。

イランが停戦でイスラエルへの報復を見送る可能性があり、ハマスも報復を控える姿勢。しかし、ガザでは依然として空爆が続いている。

ガザ停戦交渉、米高官「最終局面」 合意ならイランは報復見送りか

 パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘終結を目指し、カタールの首都ドーハで行われていた協議は16日、終了した。仲介した3カ国の共同声明によると、米国はイスラム組織ハマスとイスラエルに対し、双方の主張の溝を埋める新たな停戦案を提示。来週にもエジプトの首都カイロで再協議する予定で、バイデン米大統領は「合意に近づいている」との見方を示した。

 2日間の協議後、米政府高官は「ここ数カ月で最も建設的な48時間だった。最終局面を迎えているというコンセンサスがある」と強調した。米国のブリンケン国務長官はイスラエルを訪問し、19日にネタニヤフ首相と会談する予定だ。

 新たな停戦案の詳細は不明だが、5月末にバイデン氏が発表した3段階の停戦案がベースだという。米ニュースサイト「アクシオス」によると、イスラエルとハマスの要求内容を一部認め、隔たりを埋めるものとなっている。イスラエル側は7月下旬、ガザ南部から北部に住民が戻る際の戦闘員の流入防止策などを要求したが、ハマス側は難色を示していた。

 バイデン氏は16日、記者団に「(合意に)以前よりも近づいている。3日前よりもはるかに近づいている」と語った。ホワイトハウスによると、バイデン氏は停戦交渉をともに仲介するカタール、エジプトの両首脳とそれぞれ電話協議し、合意に向けて重要な進展があったことを確認した。

 米政府高官によると、作業チームが再協議を前に、ハマスが拘束する人質のリストや解放の順序、イスラエルで収監されているパレスチナ人のリストなどについて詳細を詰める。

 米国は中東地域の緊張緩和を目指し、外交圧力を強めている。バイデン氏は声明で、合意が目前に迫っていることを強調し「地域の誰しもがプロセスを損なうような行動を取るべきではない」とけん制した。

 停戦で合意できれば、ハマス最高幹部の暗殺現場となったイランは、イスラエルへの報復攻撃を見送る可能性がある。米メディアによると、停戦交渉を進めるため、イランは報復を遅らせる方針。レバノンの民兵組織ヒズボラなど親イラン勢力も交渉中は攻撃を控える見込みだという。

 ガザ保健当局によると、昨年10月に始まった戦闘では、10カ月あまりで4万人以上が犠牲になった。パレスチナメディアは17日も、ガザ中部での空爆で少なくとも15人が死亡したと報じた。米国は交渉の進展をアピールするが、当事者間では非難の応酬が続いている。

 イスラエル首相府は16日、「仲介国がハマスに圧力をかけて、合意の詳細が実行されることを望む」との声明を出した。一方、ハマス幹部は中東メディアに「イスラエルに過去の提案を履行するように求める」と従来の主張を繰り返した。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡】