「火事が起こるのではないか怖い」…EV恐怖に公共機関も地下充電所中断=韓国

AI要約

地下駐車場に設置された電気自動車(EV)充電施設の安全性に関する懸念から、各自治体が地上に移設する方針を推進している。政府と自治体の対策は一時的な解決策に過ぎず、根本的な安全対策が必要と指摘されている。

EV充電所の設置場所や火災対策に関する問題は各地で検討されており、地上への移設が進められている。しかし、地上駐車場がないマンションや団地においては一層の課題が浮き彫りになっている。

現在の対策は一時しのぎであり、EVの安全性を確保するためには、より包括的なアプローチが求められている。

「火事が起こるのではないか怖い」…EV恐怖に公共機関も地下充電所中断=韓国

14日午前、大田市西区屯山洞(テジョンシ・ソグ・トゥンサンドン)にある大田市庁舎地下1階駐車場。壁面に設置された電気自動車(EV)充電施設に「充電を禁止する。地上充電所を利用してほしい」という案内文が張り出されている。官用車専用充電所2カ所を除いて残りはすべてコンセントからコードを除去した。一部の充電施設はすでに撤去されて駐車場にはない状態だった。大田市は仁川(インチョン)と忠南錦山(チュンナム・クムサン)で発生したEV火災で不安が拡散すると、地下充電施設の運営を中断して地上充電所を利用するように措置に動いた。

大田をはじめ、光州(クァンジュ)・大邱(テグ)など全国自治団体が地下に設置された充電施設の閉鎖あるいは移転を相次いで推進している。大田市は庁舎地下駐車場に設置された22台の充電施設のうち17台の緩速充電器を撤去して地上に急速充電器4台と緩速9台を設置する予定だ。全北道(チョンブクド)も今月中に庁舎地下で運営した19台の充電器のうち、まず9台を地上に移動して残りの10台も順次移転させる。蔚山(ウルサン)と世宗(セジョン)、慶南道(キョンナムド)などはすでに地上への移転を終えた。

◇大田市、地下駐車場充電施設を地上に移転

光州広域市は9日から本庁で運用する官用EV58台をすべて地上に駐車するように指針を出した。EV充電施設39台のうち地下に設置された5台は当分使用を中断する。職員個人所有EV現況も把握、地下駐車場への立ち入り禁止などの措置も議論する予定だ。

EV充電施設に対する不安が拡散すると、自治団体は充電所設置関連条例なども整備し、新築建築物に反映する方案も検討中だ。改正案が地方議会を通過した後に公表されると、マンションやオフィステルなどでもEV充電施設を地上に移さなければならない。

ソウル市は新築施設のEV充電所を地上に設置するように義務化する「ソウル特別市建築物審議基準」の取りまとめを10月までに完了させる方針だ。充電制限とバッテリー残高90%以下に限って充電することができるように制限されたEVだけが共同住宅地下に進入することができるように勧告する方案も検討している。忠南道は共同住宅地下駐車場EVの充電率を90%以下に制限する内容を盛り込んだ条例改正案を推進中だ。

だが、このような対策がすでに使用中のEVの性能(走行距離)を落とす場合があるという指摘が出ていて論争になっている。これに対して自治団体とメーカー、消費者間で法的紛争が発生する可能性も提起されている。法的に強制できる根拠が不足しているとの意見もある。

◇EV充電施設地下3階→地下1階に制限

これに対してEV火災が発生した仁川市は安全対策を用意する一方、韓国政府に必要な事項を建議した。まず地下3階まで設置できるEV充電施設を地下1階までに制限することと、従来の充電施設を地下から地上に移せば国費を支援できる根拠を用意してほしいと要請した。今後建設されるEV充電施設は火災予防システムを備えた機種だけを設置するように義務化することも建議した。釜山市は新規マンションを対象に建築許可時に室外EV充電所の設置を義務化する方案を検討中だ。釜山市関係者は「電気充電所の移転を巡り代案を用意しているが、構造などの条件のために地上に移転しにくいマンションもある」とし「こうしたところには火災対応施設を追加で設置するなど市民の不安を減らす」と話した。

◇済州道(チェジュド)、地下駐車場に消防車進入が可能か調査

EV普及率が9%台で全国で最も高い済州道は地下駐車場に消防車の進入が可能なのか全数調査に入った。火災が発生した時に迅速に対応するための趣旨だ。京畿道平沢市(キョンギド・ピョンテクシ)はEV充電施設を地上に移転するマンション団地に最大6000万ウォン(約647万円)の補助金を支援する方針だ。全北道も1億5400万ウォンを投じて40カ所の共同住宅のEV地下充電所の地上移転を支援することにした。

専門家は政府と地方自治体の対策が根本的な解決策ではないと指摘する。最近建設するマンションの大部分が地上に駐車場がなく地下だけに作っているところが多いが、このようにすれば緑地などが減る可能性もある。地上充電所で老弱者や子どもが事故にさらされる危険も大きくなる。EV充電施設を地上に移転するといって火災発生の可能性が消えるわけではない点も問題に挙げられる。

◇専門家「地上駐車場のないマンションが問題」

大田大消防防災学科のイ・ジェオ教授は「世宗や大田道安(トアン)などのマンション団地は地上に駐車空間が全くないが、政府がどのような対策を用意するつもりなのか理解することができない」とし「近視眼的な対策ではなく、電気自動車の安全など根本的な問題を解決することが重要だ」と話した。