<北朝鮮水害最新情報>復旧作業本格化 食べ物ねだる動員兵士に住民同情 被災者の避難所生活始まる

AI要約

北朝鮮北部地方で7月末に発生した水害の復旧作業が本格化し、兵士が食料不足により住民から食べ物を乞うトラブルが頻発している。住民に不安と同情が広がっている。

復旧作業には企業や党員の突撃隊、軍人たちが総動員され、食糧不足に悩む若い兵士たちが民家を勝手に訪れる事態も起きており、住民の間で混乱が広まっている。

被災者への支援は人民委員会からの食糧支給や新築アパート建設などが進められており、金額や家具が失われた被災者に対する支援が行われている。

<北朝鮮水害最新情報>復旧作業本格化 食べ物ねだる動員兵士に住民同情 被災者の避難所生活始まる

北朝鮮北部地方で7月末に発生した水害の復旧作業が本格化している。労働者や地域住民、軍人が総動員されているが、空腹に耐えかねた若い兵士が住民に食べ物をねだったり盗みを働いたりするトラブルが頻発し、住民間に同情と不安が広がっているという。8月10日に両江道(リャンガンド)に恵山(ヘサン)市に住む取材協力者が伝えてきた。(石丸次郎/カン・ジウォン)

――多くの人が復旧作業に動員されているそうですね。

水害の復旧は8月中に全て終わらせろと通達があって、企業や党員の「突撃隊」、軍人たちが総動員されている。しかし水と食べ物が足りず、腹を空かせた兵士が民家を勝手に回って食べ物をねだったり、留守宅から物を盗んだりするため、住民たちが不安がっている。 若い兵士たちはまともに食べておらず、隙を見て食べ物を乞いに来るのだが、それを見つけた上官が殴るので、本当に可哀想だ。

私の家にも兵士が食べ物をくださいとやって来た。アパートの入り口の警備詰め所で、水をもらいに行くと言って上がってきたようだ。将校と下士官が見つけてその兵士を殴ったので、皆で止めた。

またアパートに兵士が家に入ってきて靴を盗んだのを捕まえて引き渡したこともあった。人民班会議に保安員(警察官)が来て、警備詰め所で住民以外の人間は入れるな、軍人が来たら警務(憲兵)に通報せよ通告した。

※「突撃隊」 主に国家的な建設プロジェクトに動員される建設土木専門の組織のことをいう。主に青年組織から選抜される常設の「突撃隊」と、職場や党員などからプロジェクトごとに選抜される臨時の「突撃隊」がある。

※2020年に発生したコロナパンデミック以降、軍内でのコロナ感染を防ぐために軍将兵と民間人との接触が厳しく制限されてきたが、今回の水害復旧作業で接触が不可避になっていると思われる。

――被災した人たちの様子はどうですか?

家も家財道具もすべて失くした人もいるし、テレビと太陽光発電機だけをなんとか持ち出した家もあった。そのような人たちを支援するのだと、人民委員会(地方政府)から毛布や靴、枕などを自発的に出せと言われている。

家のない被災者には、人民委員会(地方政府)から緊急食糧として15日分のトウモロコシが支給されたそうだ。皆集団生活をしているので、個人でもらえるわけではないが。

――家が破壊された人の住まいはどうするのでしょうか?

家が壊された人に対しては、政府が建てると言っている。急いでアパートを新築して部屋を与えるという話も出ていて、(水害があって)むしろ良かったという人もいるよ。