<北朝鮮水害最新情報>慈江道で死者も安否確認遅れ 党幹部らに自己批判命じる 鉄道不通続く

AI要約

北朝鮮北部一帯を襲った集中豪雨による洪水の復旧作業が進まず、鉄道線路が不通で生死不明の者が多数存在する状況。

被災地では安全局の確認が難しく、生活が苦しかった人々が行方不明となっており、情報の不足が深刻化している。

金正恩政権は復旧作業を促進する一方で、幹部に責任を追及し自己批判を命じており、金正恩氏自らも洪水現場を訪れる一方、批判や賛否両論の声が寄せられている。

<北朝鮮水害最新情報>慈江道で死者も安否確認遅れ 党幹部らに自己批判命じる 鉄道不通続く

7月末に北朝鮮北部一帯を襲った集中豪雨。金正恩政権は、被災者支援と復旧作業を急がせると官営メディアでアピールしているが実態はどうなのか。8月8日に両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市に住む取材協力者に聞いたところ、鴨緑江沿いを走る北部鉄道の不通が続いており、生死や行方が分からない人が大勢いるという。(石丸次郎/カン・ジウォン)

――洪水の復旧作業は進んでいますか?

慈江道(チャガンド)の満浦(マンポ)の方の鉄道線路が土砂で埋まってしまい、いつ復旧するかわからないそうだ。

慈江道の方では大勢亡くなったようだが、いったい何人死んだのか、誰が死んだのか、安全局(警察)でも確認できない有様だという。あちらに知り合いがいる知人が、心配で八方に電話してみたけれどまったくわからないと言っていた。

というのも、(洪水の前から)生活が苦しくて職場を離脱して山に入ったり、農村に出稼ぎに行ったりした人が多くて空き家もあり、人がどこにいるのか、生きているのか死んだのか、わからない場合が多いからだ。

その知人が逓信所(電話局)に行って問い合わせていたら、保衛局(秘密警察)に呼び出された。今ここでは、何かを調べようとしただけで、(被害の実態を拡散させるのではないかと)疑いをかけられる。

※恵山と満浦間には幹線鉄道の「北部線」が走っているが、7月末の豪雨以来運行が止まっているとのことだ。

――労働新聞で、労働党党員や青年組織が復旧作業に志願したと伝えていました(6、7日付)。

恵山でも、職場で党員による復旧作業の「突撃隊」が組織された。120人くらいが慈江道の方に行ったと聞いた。行かせてくれと自発的に嘆願したことになっているが、皆、選抜して動員された人たちだ。

――金正恩氏が洪水を未然に防げなかったと幹部を批判しました。

水害は中央党の責任ではなく、地方幹部の要領主義、敗北主義による事故だとして、すべての両江道の党幹部が自己批判書の提出を命じられたと聞いた。党の方針の何を貫徹できて、何が不足していたのかを書いて出せと。

――金正恩氏が水害現場を直接訪れたと報じられました。反応はどうですか?

直昇機(ヘリコプター)も動員し、金正恩がボートに乗って現場指導したことに、「人民のことをよく考えている」と言う人もいるけれど、そんなことを全く評価せず「死んだ人がかわいそうだ」と言うだけの人もいる。