安全な場所から人を殺す…ドローン戦争が壊す「人の心」PTSDに苦しむ「ドローンパイロット」の罪悪感【科学が変えた戦争】
戦場でのドローンの恐怖と、その運用者であるドローンパイロットの心の闇に焦点を当てた記事。元兵士のブラドさんのドローン追跡への恐怖や、PTSDに苦しむ元ドローンパイロットの物語が描かれている。
ブラドさんはドローンの音に恐怖を感じ、その音が死を連想させる不快さを語っている。ドローンの存在は前線で戦う兵士たちにとって、恐怖や不安の原因となっている。
元ドローンパイロットであるブレンダン・ブライアントさんはPTSDを患い、自らが人を傷つける立場に置かれたことで心に葛藤を抱える。ドローン運用者もまた、戦争の影響を受け、心の傷を負っている。
現代の戦争の姿を一変させたと言われる「ドローン」。戦場でその音を聞くことは恐怖でしかないと、多くの兵士たちが証言しています。
一方で、離れた安全な場所からドローンを操作する「ドローンパイロット」は、一体どのような感情で攻撃を行っているのでしょうか。
ある者は深刻なPTSDを患い、心の不調を訴える。その深刻な現状が浮かび上がります。
■戦場で「ドローンに追跡」される恐怖
ウクライナの首都キーウ近郊に、戦争で心を病んだ人たちが通う、クリニックがあります。そこで、現役の兵士に話を聞くことができました。
ウクライナ軍兵士 ブラドさん
「ロシアのドローンに追いかけられたことがあります。ピックアップトラックで移動している時に、彼らのドローンが私たちを追いかけてきたので、機関銃で撃ち落としました」
最前線で戦う兵士の多くは、何かしらの恐怖を抱え、苦しみながら戦っている。そう語る、ブラドさんの恐怖とは…
ウクライナ軍兵士 ブラドさん
「私はドローンの音が嫌いです。飛んでいる時の音は死にたくなるような‥とても不快な音です。あの音を聞くと、どこかに隠れてうずくまりたくなります」
羽の音は、ドローンが近くにいる…つまり、殺される直前のサイン。その恐怖は、前線で戦う兵士の心を、むしばんでいるのです。
■PTSDに苦しむ「ドローンパイロット」
ドローン戦争が、壊してゆく「人の心」。それは、ドローンを「操縦する側」にも及んでいます。
アメリカ北部に位置する、山あいの街。この街で一人の退役軍人と会うことができました。
ブレンダン・ブライアントさん(38)は、生まれ故郷である、この街に戻り、ひとりで暮らしていると言います。
「私は、善良なヒーローのような人間になりたかったのに、人を傷つける側の人間になっていました。その折り合いをつけるのが、本当に難しかったです。それが、PTSDの原因でした」
ブライアントさんは、19歳でアメリカ空軍に入隊。4年半、ドローンの操縦を担当して、心の病「PTSD」になったのです。