切断された人間の手足に屠殺された馬、ワーテルローの戦場跡から大量の骨を発掘

AI要約

1815年のワーテルローの戦いの戦場跡から、大量の切断された手足と軍馬の骨が発見された。

現地では戦闘後の惨事が明らかになりつつあり、野戦病院で手足の切断手術が多く行われたことが示唆される。

発掘作業は退役軍人を含むチームによって行われ、戦場の歴史や遺物から多くを学ぶことができる。

(CNN) 1815年のワーテルローの戦いの戦場跡からこのほど、大量の切断された手足と軍馬数頭の骨が発掘された。

ベルギーの農場での陰惨な発見は、考古学と退役軍人の支援に携わる英国の慈善団体ウォータールー・アンカバード(WU)によるもの。

ベルギー南部の同名の村付近で起きたワーテルローの戦いで、フランスの初代皇帝ナポレオン・ボナパルトは、英国のウェリントン公爵率いる6万8000の連合軍に敗北を喫した。4万5000のプロイセン軍も後者に加勢した。

戦闘では数千人が死亡したが、現地でこれまで見つかった完全な骨格は2体分のみだった。

WUは2年前、モン・サン・ジャンの農場で完全な人間の骨格を発掘していた。現地にはウェリントン側の野戦病院があったと考えられている。

考古学者と退役軍人で構成する発掘チームは今月、発掘現場に帰還して作業を継続している。英グラスゴー大学の教授で紛争史と考古学を専攻するトニー・ポラード氏によれば、チームが発掘しているのは「戦闘の後片付けをするためのユニークな塹壕(ざんごう)」で、野戦病院があった場所に掘られているという。

グラスゴー大学は今週、報道向けの発表でこの塹壕について、人間の遺骨と動物の骨とが弾薬箱で仕切られる形で収められていると説明した。

塹壕の北側では、雄牛1頭と少なくとも7頭の馬の骨が見つかった。一部には屠殺(とさつ)された痕跡が確認できる他、3頭に関しては「頭部にマスケット銃の弾丸を撃ち込んで」安楽死させたようだという。

また塹壕の南側からは、切断された人間の手足が大量に発掘された。一部には、外科手術用ののこぎりで切断された痕が依然として残っていた。

ワーテルローの戦いの間、現地の野戦病院で行われた手足の切断手術は500件と推計される。院内では連合軍兵士とフランス軍の捕虜の計6000人近くが治療を受けていた。戦闘中の負傷のうち、65%は四肢の傷が占めたとされる。

2022年の人骨の出現と合わせ、今回の新たな発見は戦闘後の現地でいかに陰惨な光景が繰り広げられていたかを浮き彫りにする。

ポラード氏は報道向け発表で、当該の塹壕には他の戦跡に見られない複数の要素が混在しているとその特異さを強調。完全体で見つかった人骨からは、野戦病院の凄惨(せいさん)な状況下で故人に一定程度の尊厳を与えようと試みた埋葬者たちの意図が強く示唆されると指摘した。

WUのアビゲイル・ボイル最高経営責任者(CEO)は、退役軍人が古戦場の発掘に携わる取り組みについて、「常識外れに見えるかもしれないが、実際には極めて有益だ」と語る。

ボイル氏によると発掘作業はスケジュールの決まった野外活動であり、仲間と共に行動するなど、退役軍人らがかつて所属していた軍隊と共通する要素が多く含まれる。一般市民を含む広範な人々と触れあう中でも様々なことが学べるため、退役後の生活に寄与する経験が得られるという。