ハマス最高幹部を首都で暗殺される屈辱を味わったイランがイスラエルに報復する可能性は低いと識者らが読む理由

AI要約

ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤがイランの首都テヘランを訪問中に殺害され、イラン政府がイスラエルに対して国際法違反と非難し、報復の構えを見せている。

イランは報復行動に出る可能性があるが、抑制されたものになる可能性が高いとする識者もいる。イランは広範な地域紛争を避けたいという狙いがある。

専門家らは、イランが激化を避けつつ暗殺の報復を模索しており、国際社会との協調を示すチャンスを得ることが重要だと指摘している。

ハマス最高幹部を首都で暗殺される屈辱を味わったイランがイスラエルに報復する可能性は低いと識者らが読む理由

ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤがイランの首都テヘランを訪問中に殺害されたことをうけて、イラン政府はイスラエルに対して著しい国際法違反だと非難し、報復する構えを見せている。イランは実際に報復行動に出るのか。出るとすれば、どれほどの規模になるのか。

カタールメディア「アルジャジーラ」は、イランが報復に出るにせよ、それは抑制されたものになる可能性が高いとする識者らの読みを伝えている。

ハニヤがイラン領土内で、しかもその首都で暗殺されたことは、イラン政府にとってひどい侮辱ではあった。だがそれはイスラエルと、その最大の後ろ盾である米国との広範な地域紛争を回避したいというイランの望みを変えるものではないと専門家らは述べてもいる。

英ロンドンにある「戦争と平和報道研究所」で中東および北アフリカを担当するレザ・アクバリは、紛争の激化がイランの政策決定者らの念頭にあるとは思わないとアルジャジーラに語っている。

「イランが何とか試みようとしている駆け引きは、激化のサイクルを引き起こすことなく、いかに報復し、イラン領土内での暗殺のような侵略行為などあってはならないというシグナルを送るかです」

イスラエルのテルアビブを拠点とする政治アナリストのオリ・ゴールドバーグはアルジャジーラにこう語る。

「イランはイスラエルを除く中東の全員と話しており、中東外のかなり多くの国々とも話している感があります。調整の兆候が見られるほど、またイランが時間をかけるほど、イランの対応が抑制されたものになる可能性は高いです」

ゴールドバーグはさらに、米国からのけ者と見られているイランにとって、いまは自らを国際社会と協調できる合理的なプレーヤーとして示すチャンスだと指摘する。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、同盟諸国との関係を損ねているタイミングではなおさらだと──。