処理水放出で不安あおった韓国・共に民主党「デマをばらまいた」 朝鮮日報が社説で批判

AI要約

韓国の保守系紙が、福島第1原発処理水の海洋放出について安全性を指摘し、共に民主党などが行ったデマを批判している。

科学的根拠に基づかない扇動やデマ情報は、政治家やメディアが発信し、被害を受けた水産業者たちは責任を政治家やメディアに求めている。

福島原発事故から12年経過した現在も、韓国の海には影響がないことが指摘されている。

保守系の韓国紙、朝鮮日報は7日付の社説で、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出開始から今月で1年になることについて「放射能の基準値に迫ったことはただの一度もない」と安全性を指摘した上で、韓国の革新系最大野党「共に民主党」などが放出前に「韓国の水産物が放射能に汚染される」「第二の太平洋戦争」などと主張したことについて、「デマをばらまいた。被害をかぶったのは韓国の漁民や水産物流通関係者だった」とした。

■「うそ反省した人は一人もいなかった」

昨年8月に始まった放出を巡り、韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が国際原子力機関(IAEA)の「国際的な安全基準に合致する」とした検証結果を尊重する立場を示した一方、共に民主党や左派系団体は処理水の危険性を喧伝した。

共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表(当時)は「日本の核汚染水放出は第二の太平洋戦争と記録されるだろう」と批判。テレビ局も連日「汚染水」と報じた。放出に反対し、ソウルの日本大使館が入るビルに乱入した大学生16人が警察に拘束される騒動もあった。

朝鮮日報はこの日、「共に民主党の福島汚染水デマ扇動から1年、うそを反省した人は一人もいなかった」と題した社説を掲載。「ほとんど全ての原子力専門家も、デマに科学的根拠はないと言った。だが、原子力について何ら知識がない李在明元代表は、専門家らを『もぐり』呼ばわりした」とし「全教組(全国教職員労働組合)の幹部は教師たちの個人情報を抜き取って『放流反対』督励の電子メールを送り、(韓国テレビ局の)MBC放送は魚が大量死しているフェイク映像を放送した」と批判的に振り返った。

■「張本人は政治家とメディア」

科学的知見を踏まえず野党などがデマ情報を流した背景については、「韓国政府に『親日』フレームをかぶせて窮地に追い込み、(今年4月の)総選挙に利用するためだった」と指摘し「共に民主党は今も、汚染水デマについて一言も謝罪や反省をしていない」と問題視した。

社説は「思いもよらない形で被害に遭った水産業者たちは『水産物を汚染している張本人は政治家とメディア』と批判した。まさにその言葉の通りだ」と強調し、福島原発事故について「12年たったが、韓国の海には何の影響もない」とした。

東京電力は今月7日に8回目の処理水海洋放出を開始した。過去7回で計約5万5千トンを放出したが、原発周辺で採取した海水でトリチウムの濃度は最大1リットル当たり29ベクレルだった。世界保健機関(WHO)は飲料水基準について1万ベクレルとしている。(奥原慎平)