ガス価格変動のユーロ圏インフレへの影響増大=ECB報告書

AI要約

欧州中央銀行が発表した調査報告によると、天然ガス価格の変動がユーロ圏のインフレ率に与える影響が増大していることが示された。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始時に天然ガス価格が高騰し、インフレ率を急上昇させ、ECBが急な利上げサイクルを開始したことが述べられている。

ガス価格の影響は石油価格より小さいものの、国によってはインフレ率に大きな影響を及ぼす可能性があり、特にフランスよりもドイツ、スペイン、イタリアなどで影響が大きいと指摘されている。

ガス価格変動のユーロ圏インフレへの影響増大=ECB報告書

[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は5日発表した調査報告で、天然ガス価格の変動がユーロ圏のインフレ率に与える影響が増大しているとの見解を示した。ただ、依然として原油価格の変動ほどではない。

天然ガス価格は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始時に高騰。22年秋までにユーロ圏のインフレ率を2桁に押し上げ、ECBはこれまでで最も急な利上げサイクルを開始した。

報告では「石油価格のショックに比べ、ガス価格ショックの総合インフレ率への影響(パススルー)は約3分の1小さい」とし、「ガスは生産面での方が消費バスケット内でよりも重要なので、間接的な影響が支配的だ」と指摘した。

ガス価格が10%上がると、およそ0.1%ポイントのパススルーとなり、インフレへの影響は1年を超えると主張。「22年序盤から22年8月のピークまでのガス価格の高騰が200%近くなったことを踏まえると、これはインフレ率の約2%ポイントの上昇に相当する」と推定した。

その後ガス価格は低下し、エネルギー価格は今年の大半の期間でインフレへの下押し圧力となった。天然ガス価格は21年半ばの水準の比較的狭い範囲内で推移した。

想定外のガス価格のショックは、生産や発電にガスをより集中的に使用する傾向にある国ほど、インフレに大きな影響を与えるとも言及。「調査結果は、想定外のガス価格の変動が、フランスよりもドイツ、スペイン、イタリアのインフレにより大きな影響を与えることを示唆している」と指摘した。