ナタリー・ポートマン「虐げられてきた人が他人を虐げるときに何が起こるのか」

AI要約

ナタリー・ポートマンが初めてのドラマシリーズに挑戦し、1960年代のバルチモアで専業主婦から報道記者になったユダヤ人女性を演じる。

ポートマンが20年の結婚生活を終えて新しいキッチンを持つ家を出て行く様子や、物語での成長が描かれる。

ポートマンはテレビドラマの経験は初めてであり、このプロジェクトに対して興味深さを感じている。

ナタリー・ポートマン「虐げられてきた人が他人を虐げるときに何が起こるのか」

12歳から女優としてのキャリアを積んでいるナタリー・ポートマンが、初めてのドラマシリーズに挑んだ。そこで彼女が演じるのは、1960年代のバルチモアで専業主婦から報道記者になったユダヤ人女性だ。イスラエル出身のポートマンが、自身の家族のルーツから女優としてのキャリアまでを語る。

感謝祭のブリスケ(肉料理)を前に、20年の結婚生活が終わる。マディ・シュワルツは、新しいキッチンを備えたバルチモアの家から出て行き、自由な女性になる。7話からなるドラマシリーズ『レディ・イン・ザ・レイク』で、ナタリー・ポートマン(43)演じるマディは、それまでの生活を投げ捨てると、子供時代に抱いていた調査報道記者になるという野望を解き放ち、地元紙「バルチモア・スター」に入り込むことに成功する。

30年にわたるポートマンのキャリアのなかで、これが事実上初のドラマ進出となる。12歳でデビューした『レオン』から、バレエ・ダンサー役でアカデミー賞を受賞した『ブラック・スワン』、大ヒット作の『スター・ウォーズ』に『マイティ・ソー』、『クローサー』などの知的インディーズものに至るまで、すべて映画であって、テレビドラマの経験はなかった。なぜなのか? 

「これだ、と思う企画がこなかっただけ」

ロサンゼルスから雑音の多い電話で、ポートマンはそう答える。

「今回は自然に思えたの。この人物なら、時間をかけて掘り下げるのが面白いと感じられたから。7時間あれば、相当やりたいことができる」

この番組の原作は、ローラ・リップマンが2019年に発表した小説で、1960年代のバルチモアで実際に起きた2つの失踪事件に着想を得たものである。あるユダヤ人少女が行方不明になり、その話題で街中は大騒ぎになって、多くのメディアもさんざん書き立てる。対照的に、若い黒人女性クレオ・ジョンソンの失踪と、それに続く湖での遺体発見については、地元の黒人新聞しか報道しない。

高校時代は校内新聞の記者だったマディは、気がつけば退屈した30代の主婦。クレオの死の謎と、2つの失踪事件に繋がりがあるとするなら何なのか──その解明にのめり込んでいく。その過程で、複数の人が踏みつけにされ、もっと悪いことに、危険にさらされる。するとこんな疑問が湧いてくる──物語を語る資格は、誰にあるのか? ポートマンはこう話す。

「題材が非常に興味深いの。虐げられてきた人が他人を虐げるときに何が起こるのか、というね。人は、虐げられる側にも虐げる側にもなり得る。そしてときに人は、自分自身の自由を求めていながら、誰かの人生を踏みつけにしているのに気づかない」