世界最強の地方武装グループ「ヒズボラ」とは 中東情勢の専門家が平易に解説
イスラエルがゴラン高原でレバノンからのロケット弾攻撃を受け、12人が死亡。イスラエルはヒズボラの関与を断定。
ヒズボラは関与を否定しているが、イスラエルは報復攻撃を行い、緊張が高まっている。
アミン・サイカルによれば、イスラエルとヒズボラの関係は複雑で、ヒズボラは中東で最強の地方武装グループの一つ。
イスラエルが占領するゴラン高原で7月27日、レバノンからのロケット弾攻撃により子供らが12人死亡したことをうけて、イスラエルはイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」による攻撃と断定した。
ヒズボラ側は攻撃への関与を否定しているが、イスラエルは28日、レバノンにあるヒズボラの複数の拠点に報復攻撃を仕掛け、さらなる報復に出る構えを見せている。イスラエルはガザ地区でハマスとの戦争を続けているが、ヒズボラとの全面戦争にも突入するのか。
オーストラリア国立大学の名誉教授で、中東・中央アジア研究者のアミン・サイカルが、国際メディア「カンバセーション」で、複雑に絡み合う中東情勢について解説している。
サイカルによれば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相によるガザ戦争の采配が、レバノンにいるヒズボラの武装グループとその支持者らを勢いづかせてきた。
もちろんヒズボラは、ガザ戦争以前から長年にわたりイスラエルにとって悩みの種であり続けてきたとサイカルは指摘する。
イスラエルは、ヒズボラが1980年代前半に政治的・準軍事的な大勢力として出現して以来、その弱体化や破壊を何度も試みてきた。だが、サイカルによれば、2006年の軍事作戦をはじめ、イスラエルの努力は失敗に終わってきた。
ヒズボラはその生存能力により自らの力を増し加えただけでなく、イランや、ハマスを含めた他の同盟グループの力までも増強させてきたとサイカルは述べる。
サイカルによれば、ヒズボラはいまや世界最強の地方武装グループで、百戦錬磨の戦士10万人、兵器の膨大な備蓄(最先端のミサイルやドローンなど)、さらには卓越した組織力とインフラサポートを持っているようだ。