報復攻撃、強度はまだ低め 識者がみるイスラエルのベイルート空爆

AI要約

イスラエル軍がレバノンの首都ベイルート近郊を空爆。イスラエルはヒズボラの幹部殺害を主張。

イスラエルはヒズボラに報復攻撃の構え、首都近郊の住宅地を空爆。紛争激化を避けるために慎重な姿勢。

ヒズボラの反応次第で情勢が変わる。イラクやイエメンとの連携も考慮される。

報復攻撃、強度はまだ低め 識者がみるイスラエルのベイルート空爆

 イスラエル軍が、隣国レバノンの首都ベイルート近郊を空爆しました。イスラエルは、レバノンに拠点を置くイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部を殺害した、と主張しています。両者の衝突はエスカレートするのか。中東地域におけるイスラム組織の情勢に詳しい、高岡豊・中東調査会協力研究員に聞きました。

 イスラエルが今回空爆したのは、ベイルート南郊の住宅地。1960~70年代にイスラエルがパレスチナの各勢力と戦った際、南レバノンから避難したイスラム教シーア派の住民が住み着いた場所だ。以来、現在に至るまでシーア派組織の拠点が置かれ、ヒズボラの重要施設も複数ある。

 イスラエルは、占領するゴラン高原への攻撃を実行したヒズボラに対して厳しい報復攻撃を行う構えだった。焦点は、その強度や程度をどうするか。イスラエル側は、数ある選択肢の中でも比較的強度の高くない、「要人暗殺」から始めた、ということだろう。これまでのイスラエルとヒズボラの戦いからみれば、今回のイスラエル軍の首都近郊の住宅地への空爆は、強度の面で「一線を越える」行為ではあるが、イスラエルは今回、レバノン領に地上侵攻したり、レバノンの社会資本を壊滅したりといった行為までは実行していない。両者間の紛争激化を避けるため、米国などからイスラエルに働きかけがあったことなども、その一つと考えられる。イスラエルも、過度の緊張激化は望んでいないと思われる。

 ヒズボラが今後どう反応するかが重要だ。加えて、イラクやイエメンにもヒズボラと連動して戦っている武装組織があり、対応が注目される。