ウクライナとの戦争よりも苦戦…ロシアが「敗色濃厚」となった、環境政策という「もう一つの戦い」

AI要約

ロシアは戦争と制裁によって環境政策が後退し、気候変動対策のプロジェクトが停滞している。

自動車産業の存続のために排出基準が緩められ、時代遅れの車が生産された。

軍事分野でも環境への悪影響が生まれており、環境問題が深刻化している。

ウクライナとの戦争よりも苦戦…ロシアが「敗色濃厚」となった、環境政策という「もう一つの戦い」

ただでさえ世界トップクラスの汚染国だったロシアは、2年以上に及ぶ戦争で環境政策をじわじわと後退させてきた。まず、西側諸国の制裁によって気候変動対策のプロジェクトが停滞した。脱炭素化の技術を欧米からの輸入に頼っていたためだ。

さらに、制裁で打撃を受けた自国の自動車産業を存続させるため、排出基準をかなり緩めることに。国内メーカーに対し、30年前レベルのEU基準に沿った車両生産を一時的に許可した。おかげで、排出ガスをまき散らす時代遅れの車が一時期生産された。

軍事分野でも、環境に直接的な悪影響が生じている。ウクライナからロシア領内へのドローン攻撃の可能性が高まるなか、各地方当局がドローンの使用を禁止。違法伐採や森林火災を発見できなくなった。また、戦車やミサイル、弾薬などの産業廃棄物も記録的な量に増加している。

そんな状況でもウラジーミル・プーチン大統領は、2060年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を「維持する」と明言。こちらの戦いも後には引けなくなっているようだ。