【独自解説】北朝鮮で放送されたツッコミどころ満載の『ゴルフ番組』 摩訶不思議なボールで“100切り”連発⁉“初プレーでホールインワン11回・34打で回った天才”の息子・金正恩総書記の思惑とは―

AI要約

北朝鮮で放送されたゴルフ番組には変わった現象が起き、観光客呼びや国際社会へのアピールが狙いとされている。

番組内では18ホールを回りながらゴルフの魅力や効果が紹介され、金正日との関わりも語られている。

金正恩総書記の女性記者登用には国際社会への仲間入りを目指す意図があるとされている。

【独自解説】北朝鮮で放送されたツッコミどころ満載の『ゴルフ番組』 摩訶不思議なボールで“100切り”連発⁉“初プレーでホールインワン11回・34打で回った天才”の息子・金正恩総書記の思惑とは―

 2024年6月~7月にかけ、北朝鮮で全5回にわたり放送された“ゴルフ番組”。演出にもこだわり、一見日本と変わらぬ光景ですが、よく見ると映像には違和感が…。番組内で起きた“摩訶不思議な現象”とは?番組を放送した狙いとは?龍谷大学・李相哲教授の解説です。

 北朝鮮国内で5回にわたり放送された、ゴルフを紹介する番組。1回目は1番ホール、2回目は2~6番ホール、3回目は7~9番ホール、4回目は10~15番ホール、そして5回目が最終回で16~18番ホールです。

 番組内では、『朝鮮中央放送委員会』のカン・イルシム記者がゴルフ場の所長らと共に実際に18ホールを回り、細かなルールなどを紹介していきます。

(『朝鮮中央放送委員会』カン・イルシム記者)

「ゴルフは、ゴルフクラブを持つ手と、腕・腰・膝のバランスの調節と、体の中心の移動と、ボールをより遠くへ正確に飛ばすというスポーツです」

 ドローンを使ってコース全体を映し出すシーンや、ゴルフ番組ではお馴染みの『ボールの軌道を追った演出』を盛り込むなど、なかなかの力の入れようです。

 クラブハウス内を捉えた映像には、ジムやシミュレーションゴルフの部屋があり、プレーをしている人の周りにはキャディーが同行するなど、日本と変わらぬ光景が。

 そして、VTRの途中には、ゴルフをする上でのメリットまで紹介。

(ナレーター)

「ゴルフをすると、直射日光を浴びてビタミンDを十分に摂取できるし、脳の機能を高めて、集中力を改善することができ、ストレスを解消するなど、良い点が多いです」

(プレーヤー)

「気分が悪くても、一度だけでも遠くまで飛んだら気分が爽快になるし、5mか7mの距離をシューッと転がって入ったら、それも気分が爽快になる」

 『北朝鮮とゴルフ』といえば、2011年に亡くなった金正日(キムジョンイル)総書記が“初めてのゴルフで11回ホールインワンを達成し、34打で回った”という伝説を持つなど、関りの深いスポーツです。

 しかし、あくまでプレーできるのは一部の上流階級のみ。一般国民には手が届きません。それなのに、日曜日の午後に5回にわたって放送した理由として指摘されているのが、「海外から観光客を呼び、外貨を獲得するため」です。

 また、女性記者を登用したのは、金正恩総書記が“国際社会の仲間入りを果たそうとしているから”だといいます。元エリート外交官の脱北者リ・イルギュ氏によると、「2012年の韓国大統領選挙で、朴槿恵大統領が当選したじゃないですか。金正恩はそれを見て、大変ショックを受けていた。『我々も女性を大々的に起用してこそ、国際社会で正常な国家になれる』と」ということです。