トランプ再選で「来年中にウクライナは敗北」し、ロシアの「属国」になる

AI要約

トランプ前大統領が再選される可能性が高まっており、ロシアとウクライナの戦争がどう影響するかに注目が集まっている。

トランプ政権下ではロシアに対する制裁が強化されており、次期政権がどのような姿勢を示すかは未定である。

バイデン政権が支援を続ける一方で、トランプ政権が支援を拡大する可能性もあるが、具体的な方針は政権の構成によって大きく左右される。

トランプ再選で「来年中にウクライナは敗北」し、ロシアの「属国」になる

トランプ前大統領が再選される見込みが高まってきている。「アメリカ第一主義」を掲げて、ヨーロッパからの手を引くことも匂わせているトランプが再び大統領になったら、ロシアとウクライナの戦争はどう推移するのか? 東京大学先端科学技術研究センター准教授で、ロシアの安全保障が専門の小泉悠氏に聞いた。

2つめの記事『もう「日本のゴマすり」は通用しなくなる...「トランプ再選」で台湾は見捨てられ、さらに「日米同盟は崩壊」へ』より続く。

小泉悠(こいずみ・ゆう)/1982年、千葉県生まれ。専門はロシアの安全保障。外務省専門分析員などを経て現職。著書に『「帝国」ロシアの地政学』『ウクライナ戦争』ほか

外交や安全保障、とくにウクライナ戦争に関して、トランプ本人に確固たる考えがあるとは思えません。むしろ政権に入るスタッフが、アメリカの方針を大きく左右するのではないでしょうか。

バイデン政権が懸念しているのは、追い込まれたプーチンが核兵器を使うこと。ウクライナに負けてほしくはないけれど、かと言って勝ちすぎても困るというのが本音でしょう。だから戦況が現状のまま維持される程度の支援を続けてきたわけです。トランプがこの枠組みを踏襲することも十分に考えられる。

ただ国民にウケると踏めば、バイデン政権以上に支援を拡大する可能性もありますね。トランプとプーチンは蜜月の関係だと思われていますが、実際のところ2017~2021年のトランプ政権下では対露制裁がかなり強化されています。

というのも当時は、それまでの共和党政権を支えてきた国務省の官僚や軍人などが外交を担っていました。抑止を重視しロシアに厳しい彼らが再び政権入りすれば、ウクライナにさらに肩入れするはずです。

一方で新たに副大統領候補に指名されたバンスは、「ウクライナで何が起ころうと関心がない」と公言している人物。彼のようにアメリカ第一主義を掲げる人物が要職につけば、ウクライナへの支援をすべて打ち切ることも考えられます。その先に待ち受けているのは、ウクライナの敗北です。