「収入源も、影響力も変わった」 米オリンピック選手はSNSで稼ぐ

AI要約

オリンピック選手たちがインフルエンサーとして活動することで、新たな収入源を得ている事例が増えている。

多くのオリンピック選手は経済的に安定しておらず、競技と並行してアルバイトをこなさなければならない実態が明らかになっている。

インフルエンサーとしての活動を通じて、オリンピック選手たちが優れたコンテンツを提供しつつ、自らの安定した収入を確保する新たな道を見出している。

「収入源も、影響力も変わった」 米オリンピック選手はSNSで稼ぐ

26日に開幕するパリオリンピック。アメリカ代表の選手たちは、各競技で一生に一度の体験を味わうことになるが、トップアスリートの中にはインフルエンサーとしての活動に力を入れる者もいる。

マイケル・フェルプスやシモーネ・バイルズ、シャカリ・リチャードソンのような有名選手なら、アパレル系・ライスタイル系企業と数百万ドルのスポンサー契約を結び、それを糧に万全のコンディションを維持することができる。だが大半のオリンピック選手はそうした話に恵まれない。2020年に48カ国500人のオリンピック級選手を対象に行ったアンケートによると、58%が「経済的に安定」しているとは言えないと回答した。国内および国際大会に出場するオリンピック選手はどこにいても週12~55時間練習できるが、9~17時でフルタイムの仕事をこなす余裕はほぼゼロだ。しかもオリンピックでメダルを獲っても、全員に賞金が与えられるわけではない。むしろ個々の国や各競技団体次第で、賞金が出るとしても国や競技団体が金額を決定する。アメリカ代表の場合、金メダリストには3万7500ドル、銀メダリストには2万2500ドル、銅メダリストには1万5000ドルがそれぞれ授与される。だがあくまでもメダルを獲った場合の話だ。

そこでインフルエンサーの登場だ。コンテンツ作成はこの8年で、選手の知名度を上げる秘策から、オリンピック有望選手の立派なサイドビジネスへと進化した。TikTokやYouTubeでクリエイタープログラムに登録したアカウントの場合、人気が出れば閲覧件数だけで毎月6000ドルはゆうに稼げる――それとは別に、企業とのタイアップ契約もある。今回ローリングストーン誌は、競技のファンを増やすためにコンテンツクリエイターとしてのキャリアをスタートしたオリンピック選手数人に取材した。だがクリエイター経済の拡大とともに、こうしたトップアスリートたちも新たな道を歩み始めている。自分の好きなことをしながら、同時にお金も稼げる術を見つけたのだ。

女子走り幅跳びアメリカ代表としてオリンピックに2大会出場したタラ・デイヴィス-ウッドホールは、大学陸上の選手時代からInstagramで人気を集めていた。ところが将来の夫となるパラリンピック選手のハンター・ウッドホールと出会い、交際を始めると、自分たちの日常生活がインターネット上で注目されていることに気づいた。2人がYouTubeで稼いだ初任給は3200ドル――大学生の収入としては驚愕の数字だ(「大学を退学しちゃおうか、なんて言ってたっけ」と夫のウッドホールは笑いながら言った。妻のデイヴィス-ウッドホールも「これで食べていけるかも、とかね」)。現在25歳の夫婦はそれぞれ個別にTikTokアカウントを運営し、それとは別に購読者数70万人以上のYouTubeのvlogチャンネルも抱えている。2人ともアカウント運営が本業だと考えている。

「自分はパラリンピック選手、タラは女子走り幅跳び選手。どっちも陸上競技では花形種目ではない」とウッドホール。「2人とも陸上が大好きだけど、陸上だけやってても自分たちが望む生活は送れないことは分かっていた。ぶっちゃけ(コンテンツ作成で)すべてが変わった」。

「正直、生活が変わったわ」とデイヴィス-ウッドホールも続けた。「最高の食事、最高の医師を手に入れ、コーチも雇うことができる。金銭的負担を感じることなく、競技のために全力を注ぐことができるようになった」。