韓国検察の金建希大統領夫人「電撃対面事情聴取」が、韓国国民にさらなる不信感をもたらした理由

AI要約

金建希(キム・ゴンヒ)韓国大統領夫人が、株価操作疑惑とブランドバッグ授受疑惑で検察に事情聴取を受けた。

捜査は長期化し、検察内での対立も表面化。疑惑に対する不正確な特別待遇についての世論が広がっている。

国民は金夫人の捜査における検察の公正性に疑問を持ち、特検法の導入を支持する傾向がある。

韓国検察の金建希大統領夫人「電撃対面事情聴取」が、韓国国民にさらなる不信感をもたらした理由

金建希(キム・ゴンヒ)韓国大統領夫人が、現職大統領夫人として初めて検察から「事情聴取」を受けた。

金夫人の株価操作疑惑とブランドバッグ授受疑惑を捜査しているソウル中央地検は7月21日、前日の20日午後1時30分から翌日午前1時20分までの約11時間50分間、大統領警護処が管轄する某保安庁舎で大統領夫人の対面調査を行ったと発表した。

検察としては、4年間も引きずってきた捜査の終結を控え、金夫人に対する事情聴取を電撃的に行なった格好だったが、世論では「原則に合わない特別待遇」という声が上がり、検察内部では分裂の動きが起きるなど、政治的波紋が広がっている。

金建希夫人の株価操作疑惑とは、ドイツ産輸入車販売会社「ドイツモーターズ」のクォン・オス会長が2010~2012年に行った株価操作に際して、金夫人が株式と資金を提供することで差益を得たというのが問題の骨子だ。

2013年に警察が内偵を経て「不送致」結論を下したこの事件は、2020年、文在寅(ムン・ジェイン)政権と尹錫悦(ユン・ソンヨル)検察総長が正面衝突したことで、検察による再捜査が本格化した。

2021年12月、検察はクォン・オス会長など6人を起訴したが、金夫人は起訴できないまま、捜査が長引いている。そして、4年間も検察が捜査を引きずってきたことによって、同事件をめぐる陣営間の対決が激化している。

文在寅政権末期、捜査担当検察が証拠なしを理由に「金夫人の不起訴」で暫定結論を下したが、文在寅検察の指導部が激しく反対したという保守系メディアの主張と、尹錫悦大統領就任後、検察が権力の顔色をうかがうために起訴できずにいるという進歩系メディアの主張が交錯するなど、事件の真相は迷宮に入り込んでしまった。

ただ、韓国国民は、疑惑が事実かどうかよりも金建希大統領夫人の捜査における検察の公正性に疑問を抱いている。

4年間にわたる捜査過程で、金夫人を一度も直接調査できなかった検察の行動は、野党が主張する特検法(高位層の権力不正など、検察としては中立的な捜査が難しい事案に対して特別検事を任命して事件を捜査させる制度)の導入を韓国国民の約7割が賛成するように仕向けてしまった。