25年ぶり相続税を大幅改正へ 富裕層優遇の指摘も=韓国

AI要約

韓国で税制が25年ぶりに大幅改正され、相続による税負担が減免されることが決定された。

税率引き下げや控除額の増加など、相続税の改正が進む中、新婚夫婦への税額控除やEV・FCVへの消費税減免延長案も盛り込まれる。

富裕層優遇論などにも議論の余地がある見通し。

税収減につながる改正案が持ち上がり、2024年度の税法改正案が国会で審議される見通し。

暗号資産への課税延期案や結婚税額控除新設など、さまざまな要素が含まれている。

一部項目は2027年まで猶予を設けるなど、詳細な調整が進行中。

相続税の税率や控除額が改定され、税制が合理化される一方、住宅用不動産税制などの一部案件は今回の改正案に含まれない。

税収条件の改善や政策効果に期待が寄せられ、税制改正の効果に注目が集まっている。

25年ぶり相続税を大幅改正へ 富裕層優遇の指摘も=韓国

【世宗聯合ニュース】韓国で税制が25年ぶりに大幅改正され相続による税負担が減免される。最高税率を50%から40%に引き下げ、課税標準については各区分の税負担を減らす方向で調整する。また子が相続する場合の控除額を1人当たり5000万ウォン(約550万円)から5億ウォンに大幅に増やす。企画財政部は25日に開いた税制発展審議委員会でこのような内容の「2024年税法改正案」を策定した。

 

 同部はこれらに関連し15の改正法案を用意した。閣議決定を経て9月の通常国会に提出する予定だ。

 崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官は記者会見で「今回の税法改正案は今後5年にわたり(年間)約4兆4000億ウォンの税収減をもたらすだろう」とし「今年の国税収入が厳しい状況だが、来年以降に輸出増加にともなう企業実績の改善、投資促進などの政策効果が現れれば全般的な税収条件が改善するだろう」と話した。

 物価・資産価値の変化を反映し、税制を合理化するため、税率や課税標準などを全て調整するというのが当局の立場だ。年末に国会で成立し、来年から新たな税率が適用されれば、2000年以来、25年ぶりの大幅改正となる。

 現行法の相続税の税率は課税標準額が▼1億ウォン以下の場合10%▼1億~5億ウォン20%▼5億~10億ウォン30%▼10億~30億ウォン40%▼30億ウォン超50%――となっている。

 これが▼2億ウォン以下10%▼1億~5億ウォン20%▼5億~10億ウォン30%▼10億ウォン超40%――に調整される。

 子が相続する場合の控除額は現行の1人当たり5000万ウォンから5億ウォンに引き上げられる。

 子が相続する場合は、子の人数を問わない一括控除5億ウォンと1人当たり5000万ウォンの控除から選べるが、基礎控除2億ウォンを合わせると、子が6人を超えない場合は一括控除のほうが控除額が多く、1人当たり5000万ウォンの控除は事実上、意味がなかった。

 配偶者控除5億~30億ウォン、一括控除5億ウォンは現行法が維持される。

 例えば25億ウォンを配偶者と子2人が相続する場合、これまで子の控除額は一括控除の5億ウォンのみだったが、今後は子1人当たり5億ウォンで10億ウォン、基礎控除2億ウォンで計12億ウォンが控除される。

 住宅用不動産を複数所有する場合に税負担を重くする制度の廃止を中心に議論された総合不動産税改正案は今回の税法改正案に含まれなかった。

 当初来年から施行する予定だった暗号資産(仮想通貨)など仮想資産への課税は2027年まで2年の猶予を設ける案を推進する。政府・与党が廃止を推進する「金融投資所得税」との課税の公平性を考慮した措置とみられる。

 少子化への対応と関連し、結婚税額控除が新設される。新婚夫婦1人当たり50万ウォンずつ、最大100万ウォンを税額控除する方針だ。今年1月1日付の婚姻届分から遡って適用される。2026年まで続けるものの、適用されるのは1回のみ。

 電気自動車(EV)や水素で走る燃料電池車(FCV)に対する消費税の減免は、今年末に終了する予定だったが、2026年末まで2年延長する案が推進される。ただ、ハイブリッド車(HV)は減免上限が1台当たり100万ウォンから70万ウォンに縮小される。

 税制当局は今回の税法改正案で来年から年間4兆3515億ウォン程度の税収減になると試算した。

 相続・贈与税が4兆565億ウォン、所得税が4557億ウォン、法人税が3678億ウォンそれぞれ減る見通しという。一方、付加価値税は3565億ウォン増えると予想した。

 税収減の大部分が相続・贈与税であることから、国会の税法審査過程で「富裕層優遇」との指摘が出るとみられる。