マカオの住宅不動産市場、2024年下半期も様子見ムード続く見通し…JLL

AI要約

マカオの住宅不動産市場における加熱抑制策の緩和とその影響についてのレビューが行われた。

市場はまだリスク許容度を満たさない高金利の状況下で調整下落サイクルが続いており、資産価格は下落している。

一方、賃貸市場はアフターコロナでの海外労働者の戻りによって回復が続いており、需要の増加が見られている。

マカオの住宅不動産市場、2024年下半期も様子見ムード続く見通し…JLL

 マカオでは、今年(2024年)に入って以降、住宅不動産市場加熱抑制策の緩和が進み、4月20日に全面撤廃されるに至った。これに伴い、市場にどのような変化が出現するかに注目が集まっている。

 総合不動産サービス企業のJLL(仲量聯行)は7月24日に会見を開き、同社によるマカオの不動産市場に関する今年上半期のレビューと下半期の見通しを発表。

 同社は会見の中で、住宅不動産市場加熱抑制策が全面撤廃されたものの、依然として高金利が続く状況下、不動産投資利回りが短期的には市場のリスク許容度を満たさず、住宅不動産の売買取引の活性化につながらなかったことに加え、すでに底値と判断した一部投資家による市場参入などもあり、結果として調整下落サイクルが長引いていると指摘。資産価格は昨年末から高級住宅で4.5%、中古型住宅で3.5%のそれぞれ下落となり、住宅投資利回りはわずかに上昇して1.8%~2.0%となったが、依然として低水準にあり、下半期も5%未満の下落が予想されるとのこと。また、年内は金利も横ばいが続くと予想されているため、下半期も様子見ムードを維持するだろうとした。

 一方、賃貸市場についてはアフターコロナで社会・経済の正常化が進み、海外労働者が戻る中で回復が続いており、前年末から高級住宅で0.3%、中小型住宅で7.4%上昇したという。

 このほか、オフィス物件は企業の拡大需要が乏しく空室率が上昇傾向にあり、賃料・売買価格とも底値を探る状況、ショップ物件はツーリズム業の回復の勢いが続いていることに伴い、観光エリアでの賃貸取引は増えているが、民生エリアについては消費減退や北上消費(マカオローカルが地元ではなく中国本土へ出かけて消費する動き)もあり振るわない状況とした。