パリ行きフライトも、ホテルも空きだらけ…観光業は大打撃でも、パリ五輪は「最も経済的な大会」という目標を達成できるのか?

AI要約

パリ五輪の開幕が、7月26日に迫っている。フランスの財務大臣は、過去数十年で最も経済的なものにすると語っており、大会費用の抑制が焦点となっている。

近年のオリンピックでは高額なコストや開催地の負担が問題となっており、IOCも変更を模索。パリ大会では、既存施設の利用や市民セクターの負担増など、費用抑制の取り組みが進められている。

しかし、予算の見込みを上回る可能性や警察や救急サービス費用などで変動する公的支出も懸念されており、財政面での課題が残る。

パリ行きフライトも、ホテルも空きだらけ…観光業は大打撃でも、パリ五輪は「最も経済的な大会」という目標を達成できるのか?

パリ五輪の開幕が、7月26日に迫っている。米メディア「ブルームバーグ」によると、フランスの財務大臣、ブルーノ・ル・メールは、この大会を「過去数十年で最も経済的なものにする」と語ってきた。

背景にあるのは、近年のオリンピックには莫大なコストがかかり、開催地の負担が増大していたことがある。2021年の東京大会では「世界一コンパクトな大会」にするとされたのに、運営費用が1兆6989億円にまで膨れ上がり、国と都が支出した関連経費も合わせると合計で3兆6845億円もかかった。

米メディア「グローバル・ファイナンス」によると、その前の2016年、ブラジル・リオ大会は、20億ドル(約3100億円)の損失に終わった。多額の費用をかけて五輪のために建設されたスタジアムが、その後何年も使われずに放置されるなど、大会後の問題も発覚している。

このような経済的負担の大きさから、近年、オリンピックの開催立候補地は減少している。そのため、国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪の招致プロセスを変更し、コンテストのような形式の選考をやめた。代わりに導入されたのは、立候補した都市と対話しながら、オリンピックを成功させる方法を議論するプロセスだ。

そこで考慮されるのは、長期的な都市のあり方である。コストや環境への影響を抑制するため、大会用に新たな競技場を建設するのではなく、できるだけ既存施設を利用することが奨励される。

パリ大会は、選考プロセスが変更されてから初めての開催となり、費用の制限を強調してきた。パリ五輪・組織委員会のエティエンヌ・トボワ最高経営責任者は、「オリンピックにかかる支出と収入のバランスをとる」と、ブルームバーグに語っている。

なお、パリ組織委員会は44億ユーロ(約7500億円)の大会運営予算を立てており、その96%が民間セクターによって賄われる予定だ。会場整備も既存施設の改修と低コストの仮設設備建設が中心で、別に計上されたインフラ予算も44億ユーロ(約7500億円)とされた。東京大会よりずっと少ない。

しかし、最終的にパリ大会の費用がどの程度になるかはまだわからない。仏メディア「フランス24」によると、フランス当局は大会にかかる費用を90億ユーロ(約1兆5000万円)とするものの、実際はそれを上回ると見込まれている。

最終的な費用は、開催中の警察や救急サービス費用などによっても左右される。公共部門の労働者は、追加ボーナスが支給されなければストライキを起こすと訴えており、正確な費用の予測は難しい。さらに、6月末、チケットの売れ行きが良くないパラリンピックに対し、3300万ユーロの予算が追加で充当された。

仏政府と地方自治体はこれまでに約24億ユーロ(約4100億円)をパリ五輪に投入してきた。しかし、仏会計検査院は、最終的に支出される公的資金は50億ユーロ(約8500億円)に達する可能性があると見ている。