【米大統領選2024】 共和党、バイデン氏の大統領辞任を要求
ジョー・バイデン大統領が大統領選挙からの撤退を表明し、共和党の議員から大統領辞任を求められている
バイデン氏は辞任しない意向を示しており、共和党は副大統領候補のハリス氏にも攻撃を仕掛けている
トランプ氏ら共和党はバイデン・ハリス政権の政策に強く反対しており、批判を強めている
アメリカのジョー・バイデン大統領が21日に大統領選挙からの撤退を表明したのを受け、野党・共和党の多数の議員がバイデン氏に対し、大統領を辞任してホワイトハウスを去るよう求めている。
共和党の幹部らは、バイデン氏の撤退の決断によって、同氏の認知機能が大統領を務められる状態にないことが確認されたとした。バイデン氏の認知機能をめぐる問題は、先月のテレビ討論会で同氏が散々な出来を見せて以来、民主党を悩ませてきた。
下院共和党の最有力者のマイク・ジョンソン下院議長は、「ジョー・バイデンが大統領選に立候補できる状態にないのなら、彼は大統領を務められる状態にもない」と主張。
「彼は直ちに大統領職を辞任しなくてはならない。(大統領選投票日の)11月5日はすぐにはやってこない」と述べた。
バイデン氏は撤退表明の際、来年1月の任期切れまでは大統領職にとどまると述べた。
その数時間後には、ホワイトハウスがバイデン氏は辞任しないと強調。「彼は任期を全うし、さらなる歴史的な成果を米国民にもたらすことを楽しみにしている」とした。
共和党の有力議員らも21日午後、バイデン氏の辞任を求めた。同時に、同氏が辞任すれば大統領執務室に移ることになるカマラ・ハリス副大統領に対しても、攻撃の矛先を向けた。バイデン氏は民主党の次の大統領候補としてハリス氏を支持している。
下院共和党会議の議長を務めるエリス・ステファニック下院議員(ニューヨーク州)は、バイデン氏の大統領としての職務遂行能力に関して、ジョンソン議長とほぼ同じ声明を発表。
声明の最後では同様に、「彼は直ちに辞任しなくてはならない」と主張した。
大統領選でバイデン氏のライバルとなってきたドナルド・トランプ前大統領は、バイデン氏の撤退表明を受け、同氏について「最初から職務に適していなかった」と述べた。
上院共和党の選対委員長を務めるスティーブ・デインズ上院議員(モンタナ州)は、米大統領でいることは「世界で最も難しい仕事」だとする声明を発表。
「そして私はもはや、ジョー・バイデンが最高司令官としての職務を効果的に遂行できるという信頼をもっていない」とした。
共和党のマークウェイン・マリン上院議員氏(オクラホマ州)はさらに踏み込み、合衆国憲法修正第25条(大統領が職務を遂行できない場合に大統領を交代させるための規定。これまで使われたことはない)を行使して、バイデン氏を辞任させるべきだと提案したとみられている。
トランプ前大統領に批判的な人々は、トランプ政権において同じ方法で、トランプ大統領(当時)の辞任を求めていた。
大統領再選に向けた選挙運動を断念した最も最近の現職大統領は、リンドン・B・ジョンソン大統領(民主党)。ジョンソン氏は、大統領としての残りの任期は全うした。
■ヴァンス副大統領候補も
バイデン氏への撤退要求がここ数週間で民主党内で高まるにつれ、共和党は同氏にすぐに大統領も辞めるよう声高に主張するようになっていた。
バイデン氏の撤退表明の数時間前には、共和党のトランプ候補が副大統領候補に指名したJ・D・ヴァンス上院議員(オハイオ州)が、「バイデンが再選を目指さないなら、最高司令官を務めるのに十分な認知機能状態にないという点で、トランプ大統領が最初から正しかったことを明確に認めることになる。このことで中間はない」と述べた。
そして、「ジョー・バイデンは私が生きてきた中で最悪の大統領であり、カマラ・ハリスはすべての段階で彼と一緒にいた」と付け加えた。
■共和党のハリス氏攻撃
バイデン氏が大統領候補としてハリス氏を支持し、同氏の指名獲得が有力視されるなか、共和党はハリス氏への攻撃を準備しているとされる。
トランプ陣営の関係者らが米メディアに語ったところでは、ハリス氏との対決に備え、攻撃広告やライバル研究の準備を進めているという。
批判の多くは、バイデン政権の移民対策で、ハリス氏が主導的な役割を担ってきたことに集中している。先週の共和党の全国大会では、演説者の数人がハリス氏を、失敗した「国境問題の第一人者」と評した。
21日は再びそうした攻撃がみられた。
ジョンソン下院議長は、ハリス氏を「まったく無能な国境問題の第一人者」と呼び、「アメリカの主権、安全保障、繁栄の破壊」に「喜々として加担してきた」と批判。
「彼女は彼(バイデン氏)が職務を果たせないことを誰よりも前から知っていた」とし、バイデン氏の問題を政治的に隠す一端を担ったとも非難した。
移民問題で強硬な路線を取り、法的な争いも招いているテキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)も、ハリス氏が大統領になることへの懸念を表明した。
アボット氏は、「国境の壁、有刺鉄線のバリアー、国境の州兵を、それぞれ3倍に増やす必要があると思う」とソーシャルメディアに書き込んだ。
前大統領の息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏は、ハリス氏の政策が総じて、バイデン氏のものと変わらないと述べた。
「カマラ・ハリスは、ジョー・バイデンと左翼的な政策記録をすべて共有している。唯一の違いは、彼女のほうがジョーよりさらにリベラルで能力が低いということだ。このことはかなりの意味がある」とX(旧ツイッター)に投稿した。
(英語記事 Republicans call on Biden to leave White House)