授乳も終わっていない子イルカ12頭が死体に…危機にさらされた済州島のミナミバンドウイルカ

AI要約

済州(チェジュ)沖合いに住む国際保護種のミナミバンドウイルカの子イルカが相次いで死亡している。今年発見された子イルカの死体だけで8頭があり、その多くは1歳未満の授乳期の子イルカだった。

済州の海での子イルカの死亡が問題視されており、海洋ゴミや観光船によるストレスが原因とされている。特に、観光船による船舶接近はミナミバンドウイルカにとって危険であり、規制が必要とされている。

専門家は子イルカの死因について海洋ゴミやストレス性早期出産などを指摘しており、ミナミバンドウイルカの生態保護に向けた取り組みが必要だとされている。

授乳も終わっていない子イルカ12頭が死体に…危機にさらされた済州島のミナミバンドウイルカ

済州(チェジュ)沖合いに住む国際保護種のミナミバンドウイルカの子イルカが相次いで死亡している。今年発見された子イルカの死体だけで8頭だ。これを受け、動物保護団体などは対策作りを求めている。

21日、済州海洋警察庁と済州大学イルカ研究チーム、ドキュメンタリー済州の集計によると、今年に入って済州沿岸で死んだまま発見された14頭のうち、半分以上の8頭が子イルカだった。同時に、この3年間、済州の海で死んだミナミバンドウイルカ30頭のうち、子イルカは12頭に達した。子イルカの多くは1歳以下で、まだ授乳も終わっていない状態だった。

子イルカの死体は、大半が西帰浦市大静邑(ソギポシ・テジョンウプ)の海上で発見されている。ここは、海岸で肉眼でミナミバンドウイルカを観察することができ、観光客がイルカを見物する場所として有名だ。

16日午前、済州道西帰浦市大静邑日果里(イルグァリ)の海上で生まれて1カ月も経っていないように見えるミナミバンドウイルカ1頭が死んだ状態で発見された。長さ90センチ、重さ5キロゴラム程度のこのイルカは腐敗がかなり進んでいた。これを撮影したドキュメンタリー済州のオ・スンモク監督は「死んだ子イルカを口に乗せて遊泳する母親を見た」として「胸で抱いたり、口に再びのせたりしながら、まるで死んだ子を哀悼するような母親の姿が哀れだった」と話した。

オ監督は同時刻、日果里の海上で廃漁具に引っかかったまま遊泳するミナミバンドウイルカの子イルカも一緒に発見した。また「この子イルカが現在までは自らの限界を克服して過ごしているようだった」として「廃漁具と廃プラスチックなどで汚染された済州の海は、子イルカの生存に脅威となっており、徹底した調査が必要だ」と主張した。

海洋ゴミの他に子イルカが死亡する原因として「イルカ探訪船」によるストレスが指摘されている。イルカ探訪船は、ミナミバンドウイルカが船に沿って遊泳する姿をできるだけ近くで見られるように運航する。そのため、イルカに直接・間接的なストレスを与える恐れがあり、規制をもできた。昨年4月からミナミバンドウイルカをはじめとする海洋保護生物に50メートル以内に船舶が接近して摘発されれば、200万ウォン(約22万円)以下の過料が課される可能性がある。この過料制度は2022年9月、国会で「海洋生態系の保全および管理に関する法律一部改正法律案」が成立することで可能になった。

イルカ専門家である済州大学のキム・ビョンヨプ海洋大学教授は「ミナミバンドウイルカは運航する船の近くで遊泳する習性があり、持続的なストレスを受けたり、けがをしたりする恐れがある」とし「このような外部の生態要因に露出した母イルカがストレス性早期出産をするなど、まともな妊娠・出産・育児が難しくなった点も子イルカが死亡する原因とみられる」と分析した。

このような中、済州道はミナミバンドウイルカの生態保護のため、ミナミバンドウイルカ生態法人の指定を推進している。生態法人は生態的価値が大きい自然環境や動物・植物などに法的権利を与える制度だ。ミナミバンドウイルカが法人格を与えられれば、動物・植物も後見人、または代理人を通じて国家・個人などを対象に訴訟を提起できる法的主体になる。生態法人指定の推進は、昨年11月の発表以降、専門家のの諮問などを検討している。