ウクライナ大統領、ロシアとの交渉示唆 前線の現実とトランプ氏復活の観測で

AI要約

ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアとの平和交渉に前向きな姿勢を示唆し、支援を求める中西側の不透明な対応に懸念を示している。

ロシアによるウクライナへの侵攻は続き、ウクライナは支援を必要としているが、その支援がどこまで得られるか不明瞭である。

ゼレンスキー大統領はトランプ政権との交渉を前向きに検討しており、真の永続的平和を目指している。

ウクライナ大統領、ロシアとの交渉示唆 前線の現実とトランプ氏復活の観測で

(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、いつになく抑制された口調で国民向けの演説を行い、ロシアとの交渉に前向きな考えを示唆した。ロシアによる全面侵攻を受けてから2年以上が経過する中、同氏がこのような姿勢を見せるのは初めてだ。

ゼレンスキー氏は今年11月の開催を見込む次回の平和サミットにロシアが代表団を送るべきだとの見解を示した。ロシアは先月スイスで開かれた前回の平和サミットには招待されていなかった。当時ゼレンスキー氏は、いかなる協議もロシア軍がウクライナから撤退した後でなければ実施できないと訴えていた。

ウクライナ政府は現在、二重の苦しみを味わっている。過酷な前線の戦況に加え、今後最も近しい同盟国からどれだけの支援を得られるかが政治的に不透明な状況にあるからだ。

ロシア軍によるウクライナ東部への進軍は、5月に米国製兵器の到着が始まると著しく速度が低下したものの、完全に歯止めがかかるには至っていない。ロシアは極めてゆっくりとしたペースながら、依然として領土を獲得し続けている。

同時に、ウクライナにとって最も親密かつ重要な同盟国の一部についても、ここへ来て支援への積極性を巡る疑問が浮上している。米国やドイツをはじめとするこれらの国々が引き続き当該の紛争に進んで資源を投入し、ウクライナ政府を支えてくれるのかどうか、明確な答えは出ていない。

ゼレンスキー氏は15日に記者団の取材に応じ、ウクライナが現時点で戦争に勝利できるだけの支援を西側から受けていないと発言。戦争の結果を左右するのはウクライナの国民や彼らの願望だけでなく、財政や兵器、政治的な支援にもかかっているとし、欧州連合(EU)及び北大西洋条約機構(NATO)、さらには世界が結束出来るかどうかによっても決まると述べた。

米国の駐ウクライナ大使を務めたジョン・ハーブスト氏は、ゼレンスキー氏の論調の変化について、米国での現在の動きに対する反応である可能性が高いと指摘する。

米国ではトランプ前大統領が15日、ウクライナ支援を強く批判するJ・D・バンス氏を11月の大統領選での副大統領候補に指名した。

ハーブスト氏はCNNの取材に答え、ゼレンスキー氏が今後成立し得るトランプ政権に働きかけ、交渉に前向きな姿勢を強調している可能性はあると述べた。ただその場合、あくまでも交渉内容が正当であることが条件になるという。

トランプ氏とゼレンスキー氏は19日に電話で会談。トランプ氏は「非常に良い電話会談だった」と振り返り、戦争の終結に向けた意欲を示した。ゼレンスキー氏も、公平かつ真に永続的な平和を可能にする方策について話し合ったと明かした。