鹿児島県・対馬丸事件の「記憶」継承へ宇検村で交流事業前に児童生徒ら事前研修 記念館館長がオンライン講話

AI要約

沖縄戦の歴史を学び、平和の尊さを伝える「対馬丸平和学習交流事業」の事前研修が宇検村で行われた。

事業は戦前の歴史を学び、対馬丸事件や沖縄戦から平和の大切さを理解する取り組み。

研修では対馬丸事件の経緯や奄美、沖縄での戦争の概要が学ばれ、平良次子さんの講話も行われた。

鹿児島県・対馬丸事件の「記憶」継承へ宇検村で交流事業前に児童生徒ら事前研修 記念館館長がオンライン講話

 沖縄戦の歴史を正しく継承し平和の尊さを学ぶ「対馬丸平和学習交流事業」(沖縄県主催)の事前研修が20日、宇検村湯湾の「元気の出る館」ホールであった。宇検村、大和村の児童生徒、保護者のほか、地元青年団ら計11人が参加。沖縄戦や奄美大島での空襲など戦前の歴史を学んだほか、沖縄県那覇市の対馬丸記念館館長、平良次子さんがオンラインで講話。事件の生存者で語り部だった母・啓子さん(故人)が残した戦禍の教訓が子どもたちに伝えられた。

 事業は宇検集落の船越海岸に2017年3月、対馬丸の慰霊碑が建てられたことを機に18年から開催。戦争の悲惨さ、平和の尊さを戦前の沖縄戦、対馬丸事件の歴史から学び、奄美、沖縄の小中学生たちの交流が図られている。

 研修では平和学習事業を手掛ける㈱さびら(沖縄県那覇市)の安里拓也さん、対馬丸記念館の堀切香鈴さんが登壇。戦前の奄美と沖縄で起きた戦争の概要を伝え、参加者らは対馬丸事件に至る経緯を歴史的背景から学んだ。

 平良さんの講話は、事件後80年の節目を迎えることから、宇検村教育委員会が企画。平良さんは戦争経験がない人が戦争を学ぶ理由の一つに、「記憶が記録でしか学べなくなる」ことを挙げ、「記憶」継承の大切さを子どもたちに伝えた。

 初参加の久志小5年、脇田埜亜(のあ)君(11)は「学校でも宇検村の人たちが助けたことを習ったが、1400人以上の人が亡くなったことを知り驚いた。事件を忘れないよう、本研修ではたくさん学びたい」と話した。

 今年度の本研修は8月24日に開催。沖縄県の小中学生と保護者ら約30人と合流し船越海岸でのフィールドワークのほか、宇検集落の有志らが主催する慰霊祭に参加する。