北朝鮮が国民「奴隷化」か、国連が非難…児童含む労働動員・忠誠心踏まえ職業割り当て

AI要約

国連人権高等弁務官事務所は、北朝鮮が国民に対して制度的に強制労働を科していると非難する報告書を発表した。

報告書は、脱北者の証言を基に北朝鮮の強制労働体制を検証し、労働形態や非人道的な行為を明らかにした。

北朝鮮政府に強制労働の廃止を要求するとともに、国際社会にも関与を求めている。

 【ベルリン=中西賢司】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は16日、北朝鮮が国民に対して制度的に強制労働を科していると非難する報告書を発表した。国際法に違反する人権侵害を引き起こし、場合によっては「奴隷化」という人道に対する罪にあたる可能性があるとして、北朝鮮に強制労働の廃止を勧告し、国際社会にも行動を求めた。

 報告書は2015~23年にかけて聞き取った脱北者183人の証言などに基づき、北朝鮮が生産活動や公共事業、外貨獲得のために学齢期から強制労働に動員する体制を作り、国民を管理している実態をまとめた。

 ▽刑務所などの拘束施設▽児童を含む労働動員▽徴兵▽海外派遣――など六つの労働形態にわけて検証した。収容所ではノルマを達成できなかった労働者が暴力を振るわれるなど非人道的な行為が横行していると指摘。子どもは学校などを通じて植林などにかり出され、徴兵者は日常的に建設業などに従事し、海外派遣者は稼ぎの大半を国にピンハネされているとした。

 北朝鮮では忠誠心などを踏まえて職を割り当て、労働者に職業選択の自由はないという。強制労働はほぼ全ての国民の生活に及び、「政治体制と指導者への絶対的服従」に結びついていると指摘した。

 報告書は、北朝鮮政府に対し、「あらゆる形態の強制労働」や「奴隷制やそれに類似した慣行」の廃止を要求した。国際社会にも、人権侵害の責任者に対する責任追及や、北朝鮮の強制労働が絡む経済取引がないよう供給網の綿密な監視を勧告した。