銃撃後に米国債利回り上昇、拡大する「トランプフレーション」の懸念

AI要約

トランプ氏の暗殺未遂後、支持層が結集し、返り咲きの可能性が高まっている。トランプ氏が大統領選で勝利すれば物価上昇圧力が再び高まる可能性がある。関税拡大や財政拡張などの政策が韓国経済にも影響を及ぼす恐れがある。

トランプ氏の公約が米国内のインフレを刺激する環境を作ることが懸念されている。税制改革や関税引き上げは物価を押上げる可能性があり、移民政策も賃上げを促す影響を持つ。

米国の関税政策が韓国経済にも直接影響を与える恐れがある。自動車や半導体産業などに打撃が及ぶ可能性があり、米国の政策次第で輸出に影響が出る可能性がある。

銃撃後に米国債利回り上昇、拡大する「トランプフレーション」の懸念

トランプ前米国大統領に対する暗殺未遂後に支持層が強く結集し、「トランプ氏が大統領選挙で勝利するだろう」という観測が広がっている。トランプ前大統領がこのまま返り咲きに成功すれば物価上昇圧力が再び大きくなる「トランプフレーション」が発生するという懸念が出ている。関税拡大、拡張財政、移民障壁などトランプ氏の政策は米国内の物価だけでなく韓国経済にまで影響を及ぼしかねない。

15日のソウル外国為替市場は午後3時30分基準でウォン相場が前営業日より3.20ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1382.80ウォンを記録した。トランプ氏銃撃事件で安全資産に対する選好心理が大きくなりドルが小幅に上昇したというのが市場の分析だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)の通貨政策転換への期待感から最近4.18%まで落ちた米国債10年物利回りもトランプ大統領銃撃のニュースが流れた直後であるこの日、4.2%中盤まで再び上がり上昇傾向に変わった。減税と財政拡張を主要政策に掲げるトランプ前大統領が当選すれば米国債発行が増え、長期物を中心に米国債利回りが上昇するだろうという予想が多い。

ビットコインなど暗号資産は代表的なトランプトレード資産に選ばれ大きく上がった。暗号資産取引所ビットサムによると15日午後4時30分基準でビットコイン価格は前営業日より4.85%上がった8834万9000ウォンで取引されている。これは財政拡張政策を広げる場合、暗号資産が代替資産として恩恵を見る可能性が高い上に、バイデン米大統領よりトランプ前大統領が暗号資産にはるかに友好的な立場だとされるためだ。

トランプ氏の公約の多くは米国内のインフレを刺激する環境を作る可能性が大きい。個人所得税率を低くするなどの減税政策と輸入品に対する関税引き上げ政策は米国内の物価を引き上げるという指摘を受ける。最近ノーベル経済学賞受賞者16人は「中国からの輸入品に対し最小60%の関税を課すというトランプ氏の公約が価格上昇の形で米国の消費者に転嫁されるだろう。無責任な予算でインフレを再点火するという懸念は当然だ」と批判した。厳格な移民政策もやはり労働力供給に負担を与え賃金上昇を誘発する。

米国の物価上昇は各国の通貨政策に影響を与える。最近FRBの利下げが近づいたという見通しが多くなっているが、インフレが長期化するならば金利引き下げのタイミングは調整が避けられない。

米国の関税政策は韓国経済にも直接影響を及ぼす。いまでも保護貿易主義を基に高い関税を課している米国政府にトランプ氏が復帰すればさらに強い通商政策を展開する可能性が大きい。最近対外経済政策研究院は米国が自由貿易協定(FTA)相手国である韓国にまで普遍関税10ポイントを追加で課すなら韓国の対米輸出は約152億ドル減少するだろうと推定した。米国が第三国に関税を課せばその余波で韓国の中間財輸出も追加で減少する。ただ米国が中国に高い関税を課すことで中国と競争関係にある韓国の輸出製品は相対的に利益を期待できる。

産業別では自動車や半導体産業などが打撃を受ける恐れがある。米国が電気自動車補助金を縮小するなど電気自動車シフトにブレーキをかけるならば米国市場でシェアを高めている現代(ヒョンデ)自動車と起亜(キア)の戦略に支障が生じるためだ。