政治的暴力への懸念強まる、トランプ氏暗殺未遂で-融和の姿勢続くか

AI要約

トランプ前米大統領の暗殺未遂事件が政治的暴力のトレンドを浮き彫りにし、冷静な発言や警備強化を求める声が高まっている。

米国議員は事件を調査し、今後の政治的暴力懸念を抱いている。バイデン大統領も国民に結束を呼びかけ、暴力を拒否するよう訴えた。

過去の政治的暗殺事件を振り返り、投票者の半数が2024年選挙の暴力を恐れていることが明らかになっている。

政治的暴力への懸念強まる、トランプ氏暗殺未遂で-融和の姿勢続くか

(ブルームバーグ): トランプ前米大統領の暗殺未遂事件は、10年余りにわたって米国を悩ませてきた政治的暴力のトレンドを示す極みであり、より冷静な発言や警備強化を求める声を促している。

米議員はすでに、ペンシルベニア州西部の集会で銃撃犯がどのようにシークレットサービスや地元警察の監視を逃れたか調査を開始した。しかし一部の議員は分裂的な政治に象徴される選挙の年にあって、13日の銃撃事件がさらなる攻撃を引き起こす可能性があるのではないかと疑問を呈し始めている。

ペンシルベニア州選出のガイ・レシェンターラー下院議員(共和)は「これは1回限りのものではなく、今後さらに政治的暴力が増えるのではないかというのが私の大きな懸念だ」とトランプ氏銃撃事件後に述べた。

バイデン米大統領は14日夜に大統領執務室から国民に向けて演説し、選挙の候補者らに激しい言葉を慎むよう促すとともに、政治的手段としての流血を拒否するよう訴えた。「米国を変える力は常に国民の手にあるべきであり、暗殺を狙う者の手にあってはならない」と語った。

バイデン氏、米国民に結束呼びかけ-銃撃事件が選挙戦略に影響も (2)

1960年代の政治的暗殺はその時代の無秩序感に大きく寄与した。ケネディ大統領や黒人活動家マルコムX、公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師、ベトナム戦争反対派として著名だった大統領候補ロバート・F・ケネディ上院議員が5年の間に殺害された。

トランプ氏暗殺未遂事件が起こる前から、激戦州の有権者の半数は2024年の選挙を巡る暴力を恐れていると、5月に実施されたブルームバーグ/モーニング・コンサルタントの世論調査で答えていた。

政治的暴力の傾向が悪化すれば、最も危険にさらされるのはわが身だと心配する議員もいる。

米連邦議会議員535人のほとんどは、他の米高官のように政府が提供する警護人を持たず、議事堂の敷地を離れると無防備な状態だ。2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を経験した多くの議員は、自分らの安全を巡る懸念を強めている。