米国の核資産に朝鮮半島関連任務を常時与える…韓国の核武装論を抑制か

AI要約

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のジョー・バイデン大統領が11日、ワシントンで韓米首脳会談を開き、「朝鮮半島核抑止・核作戦指針」を承認する共同声明を採択し、北朝鮮の核に対応するための一体型拡大抑止を強調。

韓米核協議グループが共同代表によって署名され、指針は韓国の通常戦力と米国の核戦力を統合して北朝鮮の核脅威に備える内容を含んでおり、韓米同盟が核基盤の同盟に進化した。

指針には通常兵器と核兵器の統合運用、米戦略資産の常時配備、韓米核・通常統合訓練などが盛り込まれ、朝鮮半島関連任務についての具体的な内容が初めて明示された。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のジョー・バイデン大統領が11日(現地時間)、ワシントンで韓米首脳会談を開き、米国の核戦力と韓国の通常戦力を統合して北朝鮮核に対応する「一体型拡大抑止」を盛り込んだ「朝鮮半島核抑止・核作戦指針」を承認する共同声明を採択した。同指針には、米国の核資産に戦時と平時のいずれも朝鮮半島の任務を与えることを確約する内容が含まれている。北朝鮮とロシアが同盟の復元に準ずる新たな条約を締結したことで、安全保障をめぐる韓国の不安が高まり、一部では核武装論が持ち上がる中で出た韓米の動きだ。

 韓米核協議グループ(NCG)の共同代表であるチョ・チャンレ国防部国防政策室長と米国のビピン・ナラン国防次官補(宇宙政策担当)は、6月に作成した「朝鮮半島核抑止・核作戦指針」に署名し、尹大統領とバイデン大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を機に開かれた韓米首脳会談で同指針を承認した。昨年4月、韓米首脳の「ワシントン宣言」により、7月に韓米核協議グループが発足してから1年ぶりのことだ。

 尹大統領は首脳会談で、「韓米が共に進める一体型拡大抑止の土台が完成した」と述べた。バイデン大統領も「韓国に対する米国の拡大抑止のコミットメントは、核を含むあらゆるカテゴリーの米国の力で支えられる」と語った。「一体型」とは、核と通常戦力の統合を意味するもので、米国の核戦力と韓国の先端・通常戦力を統合し、北朝鮮の核を抑止するとともに、北朝鮮の核に対応することを内容としている。

 大統領室のキム・テヒョ国家安保室第1次長はブリーフィングで、「これまでの抑止が、米国が決定して提供するものだったとすれば、これからは朝鮮半島の核運用において韓国の組織、韓国の人材、韓国の資産が米国と共同で事に当たる拡大抑止へと進化したということを意味する」とし、「韓米同盟が名実ともに核基盤の同盟に確実に格上げされた」と述べた。

 韓国政府は特に、数十ページの「朝鮮半島核作戦指針」に北朝鮮の核による脅威の抑止と、有事の際に対応するため米国の核資産に朝鮮半島関連の任務が戦時・平時ともに与えられることを確約する内容が初めて明示されたと強調した。キム・テヒョ次長は「米国が同盟国の韓国に提供する特別なコミットメント」だとし、「韓国軍が米軍と朝鮮半島の核運用に関して情報の共有、協議、企画、演習、訓練、作戦を遂行することで、実戦的な核対応能力と態勢を備えることになった」と述べた。

 これまでは「拡大抑止の提供」という大枠の約束の下、戦略爆撃機と原子力空母など戦略資産の展開を米国側が決め、差し迫った状況で韓国に通知する方式だったが、今後は朝鮮半島の特定の状況で、米国のどのような核資産をどのように運用するという内容をあらかじめ設定しておき、その資産の展開を韓米が持続的に協議していくというのが、「戦時・平時における朝鮮半島関連任務の配分」の大きな流れになるとみられる。また、米国の核戦力が朝鮮半島に常時配備される水準で米国の戦略資産展開の頻度と程度を拡大し、米戦略資産と連係して韓米核・通常統合(CNI)訓練を施行する内容も含まれていると、国防部は明らかにした。米国のこれまでの拡大抑止のコミットメントは北朝鮮の核の「抑止」に重点を置いた宣言的水準にとどまっていたが、今回の指針を通じて初めて北朝鮮の核の「対応」まで含まれるというのが、国防部の説明だ。

 ただし、今回の韓米首脳の共同宣言と「核作戦指針」で拡大抑止に対する不安が消えるかは未知数だ。慶南大学軍事学科のチョ・ソンリョル招聘教授(元大阪総領事)は、「米国の立場からすると、昨年のワシントン宣言で核協議グループという機構を作り、韓国の核武装論をある程度鎮静化したと判断したが、最近の朝ロ条約で再び核武装論が高まったため、韓米連合司令部が通常兵器分野で共同作戦を行いつつ、ある状況になれば米国が核兵器を使えるという具体的な内容を盛り込んだ指針を作った」と語った。チョ教授は「韓国の核武装論を静めるために米国がNATO式の核共有の前段階まで行く努力はしたということだが、米国大統領選挙でドナルド・トランプ政権となった場合、このような指針の意味が弱まり、無用の長物になる可能性がある」と指摘した。

 元情報当局者の外交専門家は「戦術核が配備されている国の通常兵器に戦術核を搭載して報復するというのが核共有の概念だが、戦術核が朝鮮半島に配備されていない状況で、通常戦力とどのように統合して運営するというのか、依然として曖昧だ」としたうえで、「米国が、拡大抑止は確固たるものだから、核武装について考えないようにと改めて韓国をなだめたわけだが、トランプ氏が政権を握った場合、米国が戦力投射を減らし、同盟に費用増加だけを要求する状況で、このような内容が維持されるか疑問だ」と語った。

パク・ミンヒ先任記者、ワシントン/イ・スンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )