アメリカ金融大手3社決算 トップが語る米経済&利下げ行方は?

AI要約

JPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズファーゴの金融大手3社の4-6月期決算発表について。

JPモルガン・チェースは収益増加、一方クレジットカード事業による貸倒損失が懸念材料。ダイモンCEOはインフレや地政学的リスクに言及。

シティグループは増収増益となり、一方でクレジットカード債権の焦げ付きが懸念。フレーザーCEOは事業の簡素化に注力。

アメリカ金融大手3社決算 トップが語る米経済&利下げ行方は?

アメリカの金融大手3社が12日、4-6月期の決算を発表しました。

 JPモルガン・チェースは、1年前から総収入が21.5%、純利益が25.4%それぞれ増加し、一株利益も市場予想を上回りました。高金利環境が続く中、純金利収入は4%プラスの229億ドルだったほか、非金利収入では、投資銀行の手数料収入が好調で50%のプラスとなりました。クレジットカード大手ビザの株式交換による利益を79億ドル計上したことも純利益を押し上げました。

 一方、不良債権の処理にかかる信用コストはおよそ30億ドルで、1年前から5.3%、前の期からは62%の増加となりました。貸倒損失が22億ドルあったほか、貸倒引当金をおよそ8億ドル計上しました。主にクレジットカード事業によるもので、家計圧迫により、今後債務不履行が増える可能性を示唆しています。

 今後の見通しについては、2024年通期の純金利収入を最大910億ドルとし、市場予想を下回りました。

 ダイモンCEOは、「地政学的リスクによる世界経済への影響は依然として不透明だ」と指摘したほか、インフレの減速はある程度進んでいるものの、大規模な財政赤字などインフレ要因が依然として複数あるとし、「インフレと金利は市場の想定よりも高くなる可能性がある」と述べました。

シティグループも、1年前から増収増益となり、一株利益は市場予想を上回りました。

投資銀行部門が好調で、手数料収入が63%増加しました。

一方、純金利収入はおよそ135億ドルで、1年前から3%近く減少しました。

信用コストは、1年前から35%以上増加のおよそ25億ドルで、やはりクレジットカード債権の焦げ付きが主な要因でした。

 シティグループは、事業の簡素化とコスト削減を進めていて、2万人の人員削減を行う方針をすでに明らかにしています。

 フレーザーCEOは、「事業の簡素化で目覚ましい進展を遂げている」と強調し、設備の最新化や自動化をさらに進めるとしています。

ウェルズファーゴは、1年前からわずかに増収減益となりました。

貸出金利と預金金利の差である利ざやの低下が響き、純金利収入はおよそ119億ドルと、9%減少し、市場予想も下回りました。2024年通期でも、純金利収入は1年前から7~9%減少するとの見通しを示しています。

 高金利下で、より高い利回りを求める顧客の獲得競争も激化している中、預金コストも1年前から0.71ポイント上昇しました。

 信用コストはおよそ12億ドルで、1年前から28%近く減少しました。

 一方、投資銀行部門の収益は4億3000万ドルで、38%増加しています。

 シャーフCEOは「手数料収入の伸びが、純金利収入の減少を相殺した」とコメントしています。

12日のニューヨーク株式市場で、3社の株価はそろって下落し、JPモルガン・チェースは1.2%、シティグループは1.8%、ウェルズファーゴは6%、それぞれ下落しました。