「なぜ日本が支援?」池上彰と考える、侵攻が続くウクライナと私たちのつながり

AI要約

ウクライナではロシアによる侵攻が続き、インフラや民間施設が破壊される中、市民は日々避難生活を余儀なくされている。

攻撃は特に重要な施設やルートを狙い、生活に密接に関わる場所を破壊しているため、市民は精神的にも打撃を受けている。

ウクライナ人の思い出が詰まった場所が攻撃されることで、彼らの心情も一緒に破壊されていると感じられる。

「なぜ日本が支援?」池上彰と考える、侵攻が続くウクライナと私たちのつながり

※当記事は「JICAトピックス」からの転載記事です。

世界で頻発する、災害や紛争。ニュースは日々更新されていきますが、ロシアによるウクライナ侵攻は、まだ終わっていません。侵攻開始から2年が過ぎたいま、「ウクライナで何が起こっているのか」そして「なぜ日本が支援するのか」を、ジャーナリストの池上彰さんと考えます。記事と動画でお伝えします。

(記事は4月末実施の鼎談をもとに、再構成しています)

池上 ウクライナの今の状況はどうなんでしょうか。

松永 今年の1月から首都キーウに住んでウクライナ支援にあたっていますが、シェルターに避難する頻度が増えています。当初は月に2、3度ほどだったのに対し、最近は週に2、3度ほど。シェルターに入りながら生活と仕事を続けている状況です※。

池上 最近のロシアの攻撃は、特に発電所などのインフラを破壊してウクライナの人々の生活を破壊し、戦意を喪失させようとする意図的な方針が見えますね。

※シェルターに避難する回数は2024年6月時点で再び減っている。

松永 電力関係の施設に加え、港湾施設や自治体関係の施設が攻撃されている傾向です。港湾施設については、ウクライナは、黒海からルーマニアやブルガリアの沿岸を通る新しい輸出ルートを使用することで穀物などの輸出を回復させるとともに、ロシアに攻撃させにくくしています。ですので大元の輸出拠点の港湾を攻撃することで輸出機能を停止させようとしているわけです。

池上 そうか。ルーマニアやブルガリアはNATOに加盟しているから、ロシアが手を出せない。だからそこに入る前に攻撃するということなんですね。イーゴルさん、特にインフラが破壊されている現実には心が痛みますね。

イーゴル そうですね。そして「インフラが破壊された」「どこかにミサイルが落ちて民間施設が破壊された」と一言で言っても、それはただの施設や建物ではないのです。実家や、学校への通学路、子どもが生まれた病院など、私たちウクライナ人の思い出が詰まっている場所です。そのような場所が攻撃・破壊されると、精神的に自分を破壊されているような気持ちになります。