日本人母子襲撃事件で「反日書き込み」を削除…!中国がいまもっとも恐れている「最悪の事態」

AI要約

失業率の上昇による不穏な空気が中国で事件を引き起こしている可能性。

地方政府の過小報告や隠蔽の傾向により事件公表が遅れ、SNS上の反応が重要な要因となっている。

中国経済の減速や国際情勢の変化が事件の背景に影響を与え、日本企業や外交関係にも影響が及んでいる。

日本人母子襲撃事件で「反日書き込み」を削除…!中国がいまもっとも恐れている「最悪の事態」

そもそもなぜこのような事件が起きたのだろうか。

失業率の上昇により不穏な空気が漂っているが、中国で包丁などを購入するとき、実名制が取られ、身分証明書が確認される。昼間に包丁またはナイフを持ち歩くというのは普通のことではない。仮に計画的な犯行ではないとすれば、鬱憤を放つ犯行の可能性が高い。

吉林省の公園でアメリカ人教員たちを切りつけた犯人は失業者だったといわれている。蘇州市で日本人母子を襲撃した犯人に関する詳しい情報が公表されていない。犯行を制止しようとした中国人女性を殺害したことを考えれば、計画的な犯行ではない可能性が高い。

この二つの事件に関する中国政府の対応に共通点がある。それは事件の公表がいずれも遅れた点である。一般的にこういった重大事件について地方政府の市長などに対する問責に発展する可能性があるため、地方政府は事件そのものを過小報告する傾向がる。ほんとうは、できることならば、事件を隠蔽したいはずである。蘇州の事件に関する動画がSNS上にアップロードされてから、24時間後に中国政府は事件の発生を認めた。ただし、中国社会の安全性を強調するために、これは偶発的な事件であるといわれた。

事件発生直後のSNS上の書き込みをみると、日本人母子を助けて命を落とした中国人女性を、「なぜ日本人を助けるのだ」と罵倒する書き込みがあった。外交部報道官の記者会見で犠牲になった勇敢な中国人女性を称えたのを受け、SNS上の日本に対する憎悪を煽る書き込みのなか、とくに激しいものが削除された。

そもそもネット上のヘイトスピーチを削除することは珍しいことである。共産党を批判するなど政治的な書き込みが削除されるだけでなく、書き込んだ本人が連行される可能性が高い。しかし、反日、反米の書き込みをしても、責任を問われることはほとんどなかった。

なぜ今回、反日的なヘイトスピーチが削除されたのだろうか。真相は不明だが、可能性として高いのは中国経済の減速と関係すると思われる。アメリカ大統領選はバイデン大統領の老衰ぶりが思わず露呈してしまった。トランプ候補が当選する可能性が高まるなか、中国にとってトランプは付き合いにくい相手である。

一方のEUは中国の電気自動車(EV)に制裁関税を課しており、米中の貿易戦争までにはいかないが、緊張対立が増幅する可能性がある。中国にとって日本企業は重要な存在になっている。日本人母子襲撃事件を善処しないと、日本企業は大挙して中国を離れる可能性がある。仮にそうなった場合、中国経済に深刻な影響を及ぼす恐れがある。なぜならば、中国企業にとって日本企業からの技術移転が必要不可欠だからである。

今回、事件後、犠牲になった中国人女性に対して、駐中国日本大使館が反旗を掲げ哀悼の意を表したことは中国インターネットSNSで広く伝えられ、中国社会に好印象を与えた。それを受けた形で中国政府はこの女性の勇敢さを称える模範称号を授与した。これも中国では珍しいことである。