国民の不満噴出の中、イラン新大統領に改革派ペゼシュキアン氏…国際協調路線で制裁解除目指す

AI要約

イランの大統領選で改革派のペゼシュキアン氏が当選することが発表され、19年ぶりの改革派大統領となった。彼は積極外交を展開し、制裁解除を目指す姿勢を示している。

投票率は過去最低だった第1回投票を上回り、ペゼシュキアン氏は約1638万票を獲得し、保守派の候補に大差をつけて勝利した。

新政権について外交部は、中東地域の緊張緩和や対話強化を期待するとの談話を発表し、イランとの伝統的な友好関係を強調した。

 【テヘラン=吉形祐司】イラン内務省は6日、大統領選決選投票の結果、国際協調路線をとる改革派で元保健相のマスード・ペゼシュキアン氏(69)が当選したと発表した。改革派大統領は積極外交を展開したモハンマド・ハタミ師(1997~2005年)以来19年ぶり。任期は4年。

 ペゼシュキアン氏は核交渉による米国などの制裁解除を目指す。

 大統領選は、エブラヒム・ライシ大統領がヘリコプター墜落で死亡したのを受けて行われた。イランでは、制裁を背景とした経済低迷や抑圧的な政権運営に対する不満が噴出。ペゼシュキアン氏は、国民生活を圧迫している物価上昇の要因である制裁解除の重要性を訴えて支持を拡大した。内務省の発表によるとペゼシュキアン氏は1638万票以上を獲得し、保守強硬派で元核交渉責任者のサイード・ジャリリ氏(58)に284万票余りの差をつけた。投票率は49・8%で過去最低だった第1回投票の40%を上回った。

 ペゼシュキアン氏はX(旧ツイッター)で「我々の共同作業は始まったばかりだ。あなた方の協力がなくては道のりは困難だ」と国民に協力を呼びかけた。

 政府は6日、イラン大統領選決選投票で、改革派で元保健相のマスード・ペゼシュキアン氏が当選したことを受け、「イランが次期大統領の下で、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向け、建設的な役割を果たすことを期待する」とする北村俊博外務報道官の談話を発表した。「イランとの伝統的な友好関係に基づき、新政権との間で対話を強化する」との考えも示した。