中国ロシア主導の上海協力機構、欧米けん制 ベラルーシの加盟承認

AI要約

中国とロシアを中心とする上海協力機構(SCO)がアスタナ宣言を採択し、欧米の制裁への反対や国際法の侵害を批判。SCOはBRICSと共に新たな世界秩序の柱と位置付けられ、10カ国体制に拡大した。

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は中露の結束を誇示し、SCOの枠組みを強化。一方、インドのモディ首相の欠席やロシアとトルコの会談など、足並みの乱れも見受けられた。

プーチン大統領と習国家主席は中露の相互関係を重視し、双方とも友好関係を維持する姿勢を示した。一方、プーチン氏とトルコのエルドアン大統領はウクライナ情勢などについて協力を模索した。

中国ロシア主導の上海協力機構、欧米けん制 ベラルーシの加盟承認

 中国とロシアが主導する「上海協力機構(SCO)」は4日、カザフスタンの首都アスタナで首脳会議を開き、国際社会に公正な平和や発展を呼びかける「アスタナ宣言」を採択した。宣言は「多国間貿易システムを弱体化させる一方的な制裁や貿易制限に反対する」などとうたい、対露経済制裁などを念頭に欧米をけん制。また、「武力の使用が増加し、国際法の規範が侵害されている」などと主張した。

 ロシア通信によると、ロシアのプーチン大統領は首脳会議で、「SCOはBRICSとともに新たな世界秩序の主要な柱だ」と主張。「多極化した世界が現実になった。公正な世界秩序を提唱し、伝統的な価値を守る国家の輪が広がっている」と話した。

 また、中国の習近平国家主席も、SCOは「共同して外部の干渉に抵抗し、互いに支援しなければならない」と述べた。

 会議ではロシアの同盟国ベラルーシが昨年のイランに続いて正式加盟が承認され、10カ国体制に拡大した。中露を中心に欧米に対抗する性格が一層強まった。一方で、今回の首脳会議では、中国と国境を巡って対立するインドのモディ首相が議会日程を理由に欠席するなど足並みの乱れもみられた。モディ氏は8、9日にモスクワを訪れ、プーチン氏と首脳会談を実施する。

 首脳会議に先立ち、3日にはプーチン氏と習氏が会談し、中露の結束を改めて誇示した。プーチン氏は、中露の相互関係が「国際社会において主要な安定要因となっている」と強調した。習氏も「双方は友好という初心を守り続けるべきだ」と連携強化の必要性を強調し、双方ともSCOの枠組みを米欧の対抗軸とする姿勢を鮮明にした。

 一方、プーチン氏は同日、対話パートナー国のトルコのエルドアン大統領とも会談。エルドアン氏からトルコ訪問の招請を受け、受諾した。また、エルドアン氏はロシアがウクライナで続ける「特別軍事作戦」について、「トルコは戦争終結に向けた合意の基礎を築くことができる。双方が満足する公正な和平は可能だ」と提案した。【モスクワ山衛守剛】