対外メッセージなく「人民生活」強調…北朝鮮労働党総会、経済・社会引き締めに傍点(2)

AI要約

金委員長は北朝鮮の経済的現実を考慮し、人民生活の改善と体制の強化を強調した。

会議では法的統制の重要性が強調され、若年層への思想教育も続く予定。

女性幹部の登用が進展し、金正恩政権下で初めて女性が党労働団体部長に任命された。

◇「人民生活」に傍点

金委員長は代わりに「全国人民の生活改善に向けた地方発展計画」を主に強調した。基幹工業、電力工業、機械工業、鉄道、建設などの成果を挙げ、「国家経済政策の実行において現れた一連の欠点と弊害が資料を挙げて通報された」ともした。

金委員長はこの席で「今なおわれわれの前進を妨げる並大抵ならぬ主観的・客観的要因が現存する」と診断し、「国家活動と社会生活全般に少なからぬ障害と難点」があり、「人民経済の各部門で現れている偏向と欠点」もあるとした。「是正・克服を要する深刻な欠点」もあるとしながらだ。金委員長が定めた目標にもかかわらず厳しい北朝鮮の経済的現実を反映した発言とみられる。

ただその一方で以前のような辛らつな批判は控える姿だったが、民心を注意深くくみ取る正常な指導者のイメージを強調しようとするものと解釈される。金委員長は2021年の第8期第2回総会では住宅建設など経済成果が低いことをめぐり「保身と敗北主義のもと」「党、法、軍を発動して断固打ち砕かなければならない」などの強力な発言をした。

◇「法的統制」浮上、体制結束強調

今回の会議では北朝鮮内部の体制引き締めを強化するための措置も扱われた。金委員長が「党決定の実行と社会的安定を裏付けるための法機関の役割も著しく向上した」と評価した上で、「法の機能と役割を一層強めて社会生活の各分野に革命的な活動体系と規律を確立し、人民の生活の重要な問題を解決するための法的監視と統制を正しい方法論を持って着実に行わなければならない」と強調する。

これは20~30代など若年層を中心に思想の緩みを防ぐための基調を続けるという趣旨と解釈される。反動思想文化排撃法などの厳格な施行も続くものとみられる。

一方、総会では党・政府の要職人事なども発表されたが、女性幹部の躍進が目についた。党中央委労働団体部長だった李斗星(イ・ドゥソン)氏を解任し、朝鮮社会主義女性同盟の金正順(キム・ジョンスン)委員長を新たに任命したのが代表的だ。女性が党労働団体部長に任命されたのは金正恩政権発足後では初めてだ。党部長に女性が任命された事例は過去の朴明順(パク・ミョンスン)軽工業部長と金正日(キム・ジョンイル)総書記の妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)軽工業部長程度だった。

これは北朝鮮が昨年から女性や母親の役割を強調しているのと同時に、金委員長の娘のジュエ氏が公開席上にしばしば登場することとも影響があるとみられる。新女性同盟委員長にはチョン・ヒャンスン氏が任命され、チョン・ミョンス副首相、イ・ミョングク財政相らとともに紹介された。