物価高・移民で崩れた寛容…極右政党1位のフランスがEU揺るがす(1)

AI要約

極右政党の国民連合がフランス早期総選挙で得票率1位となり、2次投票でも首相輩出の可能性が高まっている

欧州内の他国もフランスの選挙結果に注目し、極右政党の影響が欧州全体に及ぶ可能性がある

極右政党の台頭により、フランス政治は大きな変化を迎えることになり、2次投票が注目されている

物価高・移民で崩れた寛容…極右政党1位のフランスがEU揺るがす(1)

フランス早期総選挙1次投票の開票の結果、極右政党の国民連合(RN)が得票率1位となった。1958年の第5共和政樹立以降、反移民主義を前に出した極右政党が総選挙1次投票で1位になったのは今回が初めてだ。7日の2次投票でも1位を守る場合、RNは結成52年目に初めて首相を輩出して権力の中心に入る。

最近、極右勢力拡大に直面している欧州連合(EU)内の他国はフランス総選挙の影響に注目している。RNの国政参加はフランス国内政治だけでなく欧州の政治・外交・経済全般まで揺るがす可能性があるからだ。RNは自国優先主義を強調しているため、統合を標ぼうしてきたEU中心の従来の秩序と衝突するおそれがある。トランプ前米大統領の再執権の可能性と重なり、ウクライナ戦争支援、環境問題などにいたるまで西側の内部亀裂が加速化するという懸念もある。

◆投票率67%迫る…1次投票当選者の半分は極右

1日(現地時間)のフランス内務省によると、前日に行われた総選挙1次投票では、RNが率いる右派連帯が得票率33%で1位になった。続いて左派連合の新人民戦線(NFP)が2位(28%)だった。マクロン大統領の与党ルネサンスをはじめとする与党連合(アンサンブル)は3位(20%)に終わった。

今回の総選挙投票率(66.7%)は2022年の総選挙1次投票率(47.5%)より19.2%も高く、高い選挙熱を見せた。

1次投票だけで当選者が確定した選挙区は全体577区のうち76区で、RN陣営39人、NFP32人、アンサンブル2人がそれぞれ当選した。フランスは総選挙の1次投票で、選挙区登録有権者の25%以上が参加し、1位候補者が総投票数の50%以上を獲得すれば当選が確定する。50%以上を獲得した候補者がいない場合、12.5%以上の支持を得た候補者同士が2次投票を払う。

RNの実質的指導者マリーヌ・ルペン議員はこの日の記者会見で「有権者がマクロン政権7年の軽蔑的で腐敗した権力を終わらせようとする熱望を投票で明確に示した」と主張した。続いて「まだ勝利ではなく暴力的な極左政党の手にフランスが渡るのを防いでほしい」「マクロンがジョルダン・バルデラ(RN代表)を首相に任命できるよう(RNの)絶対過半数(577議席のうち289議席)をもたらしてほしい」と訴えた。フランスでは大統領が多数党または多数連合政府の支持を受ける人物を首相に任命するのが慣例だ。

マクロン大統領は声明で「高い投票率は今回の選挙の重要性と政治的状況を明確にしようとするフランス人の熱望を見せている」とし「2次投票でRNに対抗して民主的・共和的結集が必要な時が来た」と述べた。

日刊フィガロは1次投票の最終得票率を基準にRNが240-270議席、NFPが180-200議席、与党連合が60-90議席を占めると予想した。2022年の総選挙ではそれぞれ89議席、131議席、245議席だった。過去2年間に極右勢力が最大3倍まで勢力を拡大したのだ。

◆3者以上対決選挙区の候補辞退が変数

2次投票の最大変数は、有権者の極右政党に対する牽制心理と候補3人以上が対決する選挙区の候補の辞退だ。現在、2次投票で3者対決が行われる可能性が高い選挙区は約300区にのぼるが、これら選挙区では極右政党を牽制しようとするNFPとアンサンブルの候補のうち1人が辞退して別の一人に票を集中させる可能性がある。

実際のNFPとアンサンブルは3位で決選に出る所属候補の辞退を進める動きを見せている。アンサンブル所属のガブリエル・アタル首相は「極右勢力が権力の門の前にいる。我々の目標は2次投票で極右の当選を防ぐことだ」と強調した。

NFPに属する極左政党「不服従のフランス(LFI)」のジャン=リュック・メランション代表も「2次投票でRNに対抗する唯一の代案はNFP」とし、票の結集を呼びかけた。CNNは「アンサンブルとNFPが個別選挙区で候補の辞退を決める問題をめぐり1週間の政治交渉を続けるだろう」と伝えた。

2次投票の結果、RNが第1党となる場合、フランスでは27年ぶりに歴代4番目の共存政権(コアビタシオン)が誕生することになる。フィナンシャルタイムズ(FT)は「フランスの戦後史で3回の共存政権があったが、このように正反対の見解を持つ政党が共存したことはない」と指摘した。

1972年に結成されたRNは長い間、人種差別主義などで悪名高かった。しかしRNは党の急進的イメージを緩和する、いわゆる「脱悪魔化」戦略に進み、反移民主義は守るものの反ユダヤ主義とは距離をおき、公共サービス拡大などを提案して外縁を拡大した。

フィガロは今回の選挙の勝敗を分けた要因に「物価」と「移民」を挙げた。RNは選挙運動の過程で反移民政策を前面に出し、減税政策、欧州連合に対する予算支援削減、定年延長還元などを通して従来の支持層のほか、女性や青年層の票を集めたという分析だ。