韓国の前国会議長「尹大統領に梨泰院惨事は捏造された可能性があると言われ驚愕」

AI要約

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「梨泰院雑踏惨事」について陰謀論を示唆し、それに関する発言が公表された。キム・ジンピョ前国会議長は、尹大統領との単独面会でイ・サンミン行政安全部長官の辞任を尹大統領に勧めたが、尹大統領は疑惑を持ち続け、イ長官の退任を拒否した。野党は尹大統領の発言に激しく反発し、極右ユーチューブの主張に依存する大統領の姿勢を非難している。

尹大統領は梨泰院惨事について特定勢力による捏造の可能性を指摘し、イ・サンミン長官の退任を不本意と述べた。大統領室は反論したが、野党は尹大統領の姿勢を批判し、国政運営に極右ユーチューバーの情報を重視しすぎると指摘している。

キム前議長の公開した回顧録によると、尹大統領は当時のイ長官解任要求に疑念を抱きながらも、陰謀論に基づいた立場を取り続けた。野党は尹大統領の対応を非難し、国政運営の危険性を指摘している。

韓国の前国会議長「尹大統領に梨泰院惨事は捏造された可能性があると言われ驚愕」

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が(2022年10月29日に起きた)「梨泰院雑踏惨事」について「特定勢力によって誘導され捏造された事件である可能性も排除できない」として「陰謀論」に基づいた発言をしたと、キム・ジンピョ前国会議長が公開した。尹大統領は「その場合、イ・サンミン行政安全部長官を退かせるのは、(イ長官にとって)不本意なことだ」と述べ、イ長官をかばったという。大統領室は直ちに「歪曲」だと反論したが、野党は「極右ユーチューバーたちの主張に依存して国政を運営している」と強く批判した。

 キム前議長は27日、一部が公開された回顧録「大韓民国は何を蓄積してきたのか」に、2022年12月5日の国家朝食祈祷会の時、尹大統領との単独面会で交わした言葉を綴った。当時、キム前議長は「イ・サンミン長官が政治的責任を取って辞意を表明した方が良い。長官自ら退いてこそ、与野党が極限の対立に突き進むことを防ぎ、長官本人の将来のためにも望ましい」と述べ、尹大統領にイ長官を辞任させるよう説得したという。当時は与野党がイ長官の解任建議案推進をめぐり激しく対立し、予算案の処理まで不透明な状況だった。

 ところが、尹大統領は「そうかもしれない」としながらも、「梨泰院惨事に関しては今、強い疑念を持っており、どうしても決断できない。事故が特定勢力によって誘導され捏造された事件である可能性も排除できない」と答えたという。尹大統領は「その場合、イ・サンミン長官を退かせるのは、(イ長官にとって)不本意なことだ」とも述べたという。実際、尹大統領は単独面会前の11月7日、国家安全システム点検会議で、「責任というのは、本当にそれを取るべき人に問わなければならない」として、相次ぐイ長官辞任要求を一蹴し、12月11日には野党主導で議決されたイ長官解任建議案も拒否した。

 キム前議長は尹大統領の当時の発言に「内心びっくりした」としたうえで、「極右ユーチューブ・チャンネルで流れている陰謀論に基づいた主張が大統領の口から出てくることが信じられなかった」と振り返った。キム前議長は「尹大統領の疑念がどれほど本気だったかは分からないが、非常に危険な反応だった。私は『そんなチャンネルを見ないでください』と言いたい気持ちは山々だったが、ぐっとこらえた」と明らかにした。

 大統領室は直ちに記者団への告知で「国会議長を務めた方が大統領に単独面会を(自ら)要請して交わした話を勝手に歪曲して世の中に知らせるとは嘆かわしい」と反論した。また「大統領は当時、関係機関の会議が開かれるたびに、マスコミから提起された様々な疑惑を全て調査するよう指示した。最近は(真相究明などのための)梨泰院特別法を果敢に受け入れた」と述べた。

 野党は激昂した反応を示した。野党「共に民主党」のイ・ヘシク首席報道担当はフェイスブックへの投稿で、「(惨事に)最も大きな政治的・道義的責任のある国政の最高責任者である大統領が、陰謀と捏造の結果だと疑っていた。非人間、反人間の極み」だと書いた。同党のチェ・ミンソク報道担当は「尹大統領の梨泰院惨事に対する認識は、あいた口が塞がらないほど衝撃的」とし、「国民の命と安全を守る義務から逃げるために、陰謀論を信奉する大統領は初めて見る」と論評した。国会行政安全委員会のシン・ジョンフン委員長はフェイスブックへの投稿で、「尹大統領は自ら弾劾の道を歩んでいる」と書いた。祖国革新党のキム・ボヒョプ首席報道官は「尹大統領は政府が取得した情報と助言を聞きながら国政を運営するのではなく、極右ユーチューバーたちのチャンネルを見ながら国政を運営してきた」とし、「尹大統領に『特定勢力によって誘導された捏造された事件』である可能性もあるという明白な虚偽を注入した人は誰なのか」と批判した。

イム・ジェウ、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )