リチウム電池工場に労働者派遣した業者、過去も怪しい…外国人違法派遣疑惑=韓国

AI要約

京畿道華城のアリセル工場火災が外国人労働者違法派遣疑惑に拡大している。事故捜査本部と雇用労働部によると、死亡者23人のうち18人が外国人で、アリセルと派遣会社メイセルの違法契約状況が問題になっている。

メイセルは法人登記簿謄本上、事業目的を一次電池製造として登録されたが、製造業の直接生産工程作業への派遣は法律違反。また、メイセルは登録や許可が不十分であり、偽装疑惑も浮上している。

近隣の工場団地にも違法派遣が蔓延しており、違法雇用が広がっている状況。専門家らは違法雇用の解決策として、管理監督の強化や新しいシステムの導入が必要と指摘している。

リチウム電池工場に労働者派遣した業者、過去も怪しい…外国人違法派遣疑惑=韓国

大規模人命被害を出した京畿道華城(キョンギド・ファソン)のアリセル工場火災が労働者違法派遣疑惑に拡大している。アリセルとこの工場に外国人労働者50人を派遣したメイセルとの間の違法契約状況が相次いで明らかになっている。

華城火災事故捜査本部と雇用労働部などによると、死亡者23人のうち18人が外国人で、このうち大部分はメイセルから派遣した人材だった。両社とも外国人労働者を雇用する際に必要な特例雇用許可を受けていなかった。メイセルは法人登記簿謄本上、5月7日に事業目的を一次電池製造として設立・登記した。所在地は火災が発生した華城のアリセル工場第3棟2階の作業場になっている。派遣法上、アリセルのように製造業の直接生産工程作業をする所に対しては派遣が禁止されており、メイセルが下請け業者に偽装した可能性が大きいと雇用労働部はみている。

メイセルは2021年にハンシンダイヤという社名で設立された企業の後身だ。メイセル関係者は「4月まではハンシンダイヤの名称で人材を供給した」と話した。アリセルとエスコネクトのパク・スングァン代表が25日の記者会見で「派遣・請負職の人的事項は人材派遣会社で確保している」としてメイセルの代わりにハンシンダイヤに言及した。法人登記簿謄本にはハンシンダイヤの住所地がアリセルの親会社であるエスコネクトの安山(アンサン)事業所と同じ場所となっている。電子部品・携帯電話部品製造業者として登録されているが、実際にこの場所に工場はなかった。近くの事業所で会った製薬会社関係者は「ハンシンダイヤという名前は初めて聞いた」と話した。

ハンシンダイヤは韓国産業団地公団で運営する全国工場共有プラットフォーム「スマートKファクトリー」システムにも登録されていない。産業集積活性化と工場設立に関する法律第16条によると、工場所有または占有者は地方自治体や韓国産業団地公団に工場登録を申請しなければならない。韓国産業団地公団関係者は「賃貸業以外は登録対象。実際に運営していないペーパー工場の可能性が大きい」と話した。

捜査当局などはアリセルが一時的に注文量が増えるたびに偽人材業者を作って違法に労働者の派遣を受けたものと疑っている。アリセル社員は「最近勤務者が普段より2倍に増えた。中東の国の軍納リチウムバッテリー注文が増えたという話を聞いた」と話した。

エスコネクト安山事業所の住所地にはハンシンダイヤのほかにジュヒテックという別の業者も登録されている。こちらもスマートKファクトリーに登録されておらず、未許可業者である可能性が提起される。労務法人トウォンのイム・チャングン労務士は「アリセルのような直接製造業は派遣自体が違法。この場合安全教育と事故に対する責任の所在が不明確になり、結局労働者が最も大きな被害を受ける」と話した。

◇近隣工場団地に違法雇用蔓延…「みんなやっている」

業界関係者らはアリセルだけでなく華城、始興(シフン)、安山など近隣の製造業の工場でこうした違法派遣が蔓延していると証言した。華城で20年間人材派遣業者を運営したAさんは「普通は事業主の知人が株式会社形態の法人を設立して人材を派遣し10%前後の手数料を得る方式。アリセルのほかにも産業団地一帯の工場の半分以上が違法なアウトソーシング(派遣)をしているとみなければならない」と話した。アリセルと同じ団地の自動車合板製造工場で働く人も「団地の工場の大多数が労働者を供給され違法に雇用する」と話した。チョ・ヨングァン弁護士は「直接雇用後は維持しにくいが生産量が営業状況によって変わる時に違法派遣と請負雇用が主に発生する」と話した。

◇まともな安全教育もなかった…「モニタリングシステム作らねば」

専門家らは、雇用当局の管理監督関連法令を補完すべきと指摘した。現行の「派遣労働者保護などに関する法律」は、派遣労働が可能な業務を制限するが、この業務ではなくても出産・疾病・負傷などで欠員ができたり、一時的・間欠的に人材を確保する必要がある場合には派遣を許容している。チェ・ジョンギュ弁護士は「雇用当局では人員が不足し全数調査が難しいとしても数十年にわたり続いた違法雇用が解決されないのは政府がこれを黙認したということ。事前に現場管理・監督が難しければ例外的に許容する時に許可または申告制を導入するなどのシステムが必要だ」と指摘した。