1ドル=1400ウォンが「ニューノーマル」になる恐れも…4月の危機とは異なる

AI要約

ウォン安懸念が再燃しているが、過去の危機とは状況が異なる。

米国の金利政策の不確実性が減少し、株式や債券価格は上昇傾向にある。

ウォン安のリスクはあるものの、現時点ではあまり懸念する必要はない。

1ドル=1400ウォンが「ニューノーマル」になる恐れも…4月の危機とは異なる

 ウォンが再び1ドル=1400ウォンに近づき、ウォン相場をめぐる懸念が高まっている。しかし、4月中旬のウォン安危機とは雰囲気が異なる。4月は内外の不確実性が重なり、株式、債券、ウォンの価値が共に下落するトリプル劣勢現象が現れたが、現在は株価と債券価格はいずれも上昇傾向を示しているためだ。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の金利政策の不確実性も4月に比べて大きく減った。6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の会議の結果に対する解釈は分かれているが、FRBが物価の下方安定を基盤に今年中に政策金利引き下げに乗り出す可能性は一層高まった。

 これを反映したのが米国債の金利だ。予想値を下回る5月の米国の消費者物価の上昇率と共に、6月のFOMCの会議を経て、米国の長期国債金利は明確な下方安定傾向を示している。金利政策の不確実性の拡大で米国の国債金利上昇とドル高が急激に進んだ4月の状況とは違いが際立つ。

 韓国国内の状況も4月に比べて安定的だ。金融市場と景気サイクルに明確な悪材料が浮上していない。4月危機説などでやや不安だった国内の信用リスクが、現在は安定を保っている。景気も内需と輸出景気間の温度差にもかかわらず、回復傾向は続いている。ウォン安ドル高を国内の金融や景気不安へと拡大解釈する段階ではない。

 それでも1ドル=1400ウォン台を突破する可能性は潜在している。対内的要因よりは対外的不確実性、特に円とユーロのさらなる低迷がウォン安または1400ウォン台に安着する要因として働く可能性がある。

 まず、年中最安値を更新し、1ドル=160円に迫った円相場が注目される。米日間の金利政策の差別化現象の持続が円安心理を刺激している。何よりも日本銀行の緊縮の度合いが予想より強くないことが、円安心理を落ち着かせずにいる。日本政府の直接的な外国為替市場への介入がなければ、円相場が160円台に落ち着く可能性もある。ウォンと円の高い同調化関係を考えると、1ドル=160円台に進入すれば、1ドル=1400ウォンも可視化する可能性がある。

 予期せぬ政治の不確実性に直面したユーロ相場も、ウォン相場にとって負担となる。30日に実施されるフランスの早期総選挙の結果によっては、ユーロ安がさらに進む余地が大きい。ただでさえユーロ圏の実体経済の回復速度が期待に及ばない状況で、欧州の政界を襲ってきた極右勢力の勢いはユーロをめぐる不安を煽りかねない。

 要約すると、現在のウォン安をそれほど懸念する必要はないが、円安とユーロ安がさらに進んだ場合、ウォン相場が1ドル=1400ウォン台に安着する潜在的なリスクは大きくなった。超ドル高に見えるかもしれないが、根本的には円安とユーロ安の加速と為替リスクに国内の金融市場を含めグローバル金融市場が再びさらされているということだ。

パク・サンヒョン|ハイ投資証券専門委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )