習近平・国家主席の妻、幹部人事に関与で「ポスト習」に影響力か…専門家「毛沢東の晩年と似る」

AI要約

中国の習近平国家主席の妻・彭麗媛氏の存在感が高まっており、後継候補の選定を巡って彭氏の影響力が強まっている。

彭氏の中国軍での肩書が判明し、軍内での影響力が増していることが示唆されている。

彭氏の外交活動や幹部人事に関与する動きから、彭氏が「ポスト習近平」選定のキーパーソンとして注目されている。

 【北京=川瀬大介】中国の習近平(シージンピン)国家主席の妻・彭麗媛(ポンリーユエン)氏(61)の存在感が高まっている。15日に71歳となった習氏は4期目政権も見据えているとされるが、後継候補の選定を巡って彭氏の影響力が強まるとの見方が出ている。

 香港有力紙の星島日報は5月、彭氏の中国軍での肩書を「中央軍事委員会幹部考評委員会専職委員」と説明する写真がSNSに出回ったと報じた。彭氏はかつて軍所属の著名歌手で少将を務めたが、2017年に軍芸術学院長を退任して以降の役職は不明だったという。

 幹部考評委は軍幹部の登用などにあたって重要な役割を担うとされる。彭氏の肩書が事実であれば、軍内での影響力が強まっていると言えそうだ。

 王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)は5月に発表した習氏の欧州訪問を総括する談話で彭氏の「夫人外交」に言及し、「魅力的な外交は対中好感度を強め、中国のソフトパワーが果たす前向きな役割を高めた」と持ち上げた。北京の外交筋は「彭氏の露出が明らかに増えている」とみている。

 官製メディアの関係者は、7月に開催が予定される中国共産党の重要会議で彭氏に絡む人事の有無が焦点の一つだと明かす。「習氏は身内で信頼できる彭氏の要職起用を考えている節がある」と本紙に語った。

 東京女子大の高原明生・特別客員教授は、習氏に権力が集中する現状が毛沢東の晩年と似てきたと指摘し、「習氏の権力に挑戦する人がいない中、『ポスト習近平』を見据えた政治闘争が始まっているとみる人たちが彭氏の動向に注目し始めている」と分析する。

 彭氏が自身と同じ山東省出身の董軍(ドンジュン)氏の国防相就任や、山東省トップから党指導部入りを果たした李幹傑(リーガンジエ)氏の党中央組織部長就任を後押しし、「山東閥」を形成しているとの情報がある。幹部人事に関与しているとの観測が「ポスト習近平」選定のキーパーソンとする見方につながっている。

 海外のインターネット上では、毛沢東の妻で「四人組」の一員として「ポスト毛沢東」の権力闘争を繰り広げた江青に彭氏をなぞらえる見方も散見される。中国当局は神経をとがらせている模様だ。