アメリカ経済、なかなか景気後退入りしない問題。その「実情」示す4つのデータ(海外)

AI要約

アメリカ人の多くが景気後退だと感じているが、実際にはそうではないという調査結果が出た。

メディアの報道や人々の見方が景気判断に影響している可能性がある。

専門家の意見や経済指標を基に、実際の経済状況を明らかにする。

アメリカ経済、なかなか景気後退入りしない問題。その「実情」示す4つのデータ(海外)

ガーディアン紙に掲載されたザ・ハリス・ポールの調査によると、大半のアメリカ人が米国は景気後退にあると回答したが、実はそうではない。

アメリカ人が景気はさほど良くないと感じている理由の1つは、メディアの取り上げ方かもしれない。

Business Insiderではデータを検証し、米国経済に実際に何が起きているのか調べてみた。

アメリカ人の多くは、現状を好景気と捉えていない。だが、景気後退期に突入しているのかというと、実際はそうでもなさそうだ。経済指標や、Business Insiderのインタビューに答えた専門家が見ているデータに基づくと、アメリカは景気後退に陥っておらず、また近々そうなる可能性も低いのだ。

ガーディアン(Guardian)に掲載された、米国成人の感情、行動、モチベーションを追跡している市場調査会社ハリス・ポール(Harris poll)の世論調査によると、56%のアメリカ人が、

米国は景気後退に陥っている

と答えた。さらに、大半の人は経済が失速していると回答している。

だが、米国は2020年初めに2カ月間景気後退に陥って以来、公式には景気後退入りしていない。にもかかわらず、景気がさほどよくないと感じているのは、メディアの取り上げ方と経済トレンドに対する人々の見方が理由だ。

J.P.モルガン・アセットマネジメント(J.P. Morgan Asset Management)のチーフ・グローバルストラテジストであるデビッド・ケリー氏、投資銀行レイモンド・ジェームス(Raymond James)のチーフ・エコノミストであるユージェニオ・アルメン氏、アーンストヤング(EY)のチーフ・エコノミストであるグレゴリー・ダーコ氏は口を揃えて、米国は景気後退ではないとBusiness Insiderに語る。

ケリー氏はBusiness Insiderに書面で回答した。

「アメリカ人が経済に悲観的なのは、メディアが絶えず経済や社会問題をネガティブに報道し、それが否定的なソーシャルメディアによって一段と増幅されているからだ」

「もちろんすべてが順風満帆ではなく、それゆえ人々の見方が沈んでいる可能性はある。コスト上昇による疲れやインフレがもたらす累積的な影響、ほとんど売買がなく手が出ないほど高騰した住宅市場。また、労働市場では転職数が減少し、雇用機会が低下しているとの認識が高まっている。こうしたことを踏まえると、暗黙のうちに経済状態に悲観的になってしまう」とダーコ氏は言う。

「こうした特定の調査で実際に目の当たりにするのは、消費支出動向やインフレ動向、雇用動向に対する人々の見方と、それらを捉えたデータとの乖離だ。経済状態についての基調的な見方を歪める可能性のある、異なる情報源や違うニュースソースが存在するという事実によって、この誤解はさらに深まる」

今の経済状態を詳しく知りたいなら、以下の図表をみてみよう。