<14億の選択>インド総選挙、モディ政権3期目へ BJP単独過半数を割り込む可能性

AI要約

インド下院の総選挙は4日開票され、与党連合が勝利する見通し。モディ政権は3期目に入るも、議席は減少する可能性。

急速な経済成長を遂げる一方、モディ政権の強権体質や若者の雇用不足が課題となる。

インドはグローバルサウスの代表格として存在感を増し、国際社会で重要な役割を果たしている。

<14億の選択>インド総選挙、モディ政権3期目へ BJP単独過半数を割り込む可能性

 インド下院の総選挙は4日開票された。地元メディアによると、モディ首相のインド人民党(BJP)を中心とする与党連合が勝利し、小選挙区543議席の過半数を獲得する見通し。モディ政権は3期目に入るが、改選前から大きく議席を減らすとみられる。

 BJPは2019年の前回選で300議席超を獲得し、与党連合全体では350議席超に達した。今回は、政権を奪還した14年を含めた過去3度の総選挙で初めて単独過半数を割り込む可能性がある。最大野党の国民会議派など野党連合「インド全国開発包括連合(INDIA)」がくすぶる有権者の不満を取り込んだ形だ。

 モディ氏の強いリーダーシップのもと、インドは高い経済成長を実現してきた。国際通貨基金(IMF)の予測では、25年にインドの名目国内総生産(GDP)が日本を上回る。モディ氏は3期目の任期中にドイツも抜き「世界3位の経済規模になる」と訴える。

 急速な経済発展の一方で、モディ政権の強権体質もたびたび指摘されてきた。投票開始を前に野党の有力指導者が汚職関与の疑いで逮捕されたのは、政権による締め付けとみられた。若者の雇用不足も深刻で、国際労働機関(ILO)によると、23年の大卒以上の失業率は28%を超えた。

 野党の国民会議派は、2期10年のモディ政権下で経済格差が拡大し、民主主義が後退したと批判。地域政党などとの選挙協力で対抗し、事前の出口調査の予想を覆して議席を伸ばした。

 インドは近年、グローバルサウス(南半球を中心とする新興国、途上国)の代表格として、国際社会で存在感を増している。

 ウクライナ侵攻により欧米諸国とロシアの分断が深まる中、双方と良好な関係を維持する。国境紛争を抱える中国を念頭に、日米豪印の協力枠組み「クアッド」を通じて日本や米国との関係も強化してきた。

 世界最多のインドの人口は14億人を超え、有権者数は約9億7000万人に上った。投票は4月19日に始まり、6月1日まで地域ごとに7回に分けて実施された。【ニューデリー川上珠実】