「台湾独立を助長」 中国国防相が台湾問題を巡り米国念頭に批判 頼政権への圧力継続示唆

AI要約

中国の董軍国防相がシンガポールでのアジア安全保障会議で、台湾の民進党政権を批判し、台湾独立を推し進める動きに圧力をかける考えを示した。

董氏は中国の軍事力で台湾独立を阻止する姿勢を示し、米国の台湾への武器売却を批判した。

さらに、米中関係や南シナ海問題にも触れ、対立が激化する状況についてコメントを行った。

【北京=三塚聖平】中国の董軍(とう・ぐん)国防相は2日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で演説し、台湾で5月20日に発足した民主進歩党の頼清徳政権を巡り、「現在の問題は民進党当局が漸進的な台湾独立を図り、脱中国化を頑迷に推し進めていることにある」と主張した。頼政権への圧力継続を示唆するとともに、台湾への武器売却を進める米国を念頭に「台湾独立を助長している」と批判した。

昨年12月に国防相に就任した董氏が西側諸国も参加する国際的な舞台で演説するのは初めてとみられる。汚職疑惑が取り沙汰された李尚福(り・しょうふく)前国防相は昨年10月に解任されている。

董氏は「台湾問題は中国の核心的利益の核心だ」と述べ、中国人民解放軍が「適時、断固とした力強い行動で、台湾独立を押さえ込む」と強調した。頼政権の発足に合わせて軍事演習を実施したように、台湾側に軍事的な圧力をかけ続ける構えを示した。董氏は「身のほど知らずにも台湾を中国から分裂するものは誰であれ、必ず自滅することになる」と威圧した。

ウクライナ問題に関しては「衝突しているいかなる側にも武器を提供していない」と述べ、軍民両用品の輸出規制も厳格に行っていると主張した。オースティン米国防長官は5月31日に董氏と会談した際に、中国がロシアの軍事産業を支援していると指摘した。

董氏は、米中関係について「両軍関係の安定は全世界の安全と安定に関わる」と指摘。中国側は「交流と協力に開放的な態度を保っている」と表明すると同時に、「双方が歩み寄ることが必要だ」と米側にクギを刺した。米国がアジア地域で同盟国と連携を強めていることを念頭に、「排他的な軍事同盟の構築に反対する」と表明した。

南シナ海を巡って対立が激化しているフィリピンに関し、名指しを避けつつ「一部の国が外部勢力の扇動下で二国間の約束を破棄して、計画的にいざこざを引き起こした」と主張。その上で「地域の安全と安定を深刻に破壊しており、このようなやり方は最後には自ら身を亡ぼすような道をたどるだろう」と恫喝(どうかつ)した。