中国国防相「米国は台湾問題に干渉すべきでない」 米中の国防相が1年半ぶりの対面会談

AI要約

米国防長官と中国国防相の会談が行われ、両国関係や台湾問題、南シナ海問題などが話し合われた。

董国防相は台湾問題について警告し、中国軍の台湾海峡周辺での活動に懸念を表明した。

会談ではウクライナ侵略や南シナ海での中国の行動などについても議論された。

【ワシントン=坂本一之、北京=三塚聖平】オースティン米国防長官と、中国の董軍(とう・ぐん)国防相は31日、訪問先のシンガポールで会談した。米中の国防相による対面会談は約1年半ぶり。中国メディアによると、会談では両国関係や台湾問題、南シナ海問題などについて意見交換を行った。

ロイター通信によると、董氏は会談で、米側に対し「中国と台湾の問題に干渉すべきではない」と警告した。オースティン氏は、中国人民解放軍による最近の台湾海峡周辺での「挑発」に懸念を表明した。台湾の頼清徳総統の就任を受け、中国軍は23~24日に台湾を取り囲むように軍事演習を実施している。

会談では、ロシアによるウクライナ侵略や、パレスチナ自治区ガザでの戦闘などについても意見交換した。

米側は、南シナ海での中国のフィリピン船に対する妨害行為も批判している。オースティン氏は今回の会談を通して東・南シナ海で軍事的圧力を強める中国に自制を促し、地域の緊張を緩和できるかが課題となる。

中国側には、台湾問題に関し、米国が武器売却など頼政権への支援を行わないようクギを刺す狙いがある。

董氏は昨年12月に国防相に就任した。汚職疑惑が取り沙汰された李尚福(り・しょうふく)前国防相は昨年10月に解任されている。

中国の習近平国家主席とバイデン米大統領は昨年11月の首脳会談で、停滞していた国防当局・軍高官対話の再開で合意。その一環でオースティン氏は今年4月、董氏とテレビ電話会談を実施し、米中の国防相による対話を再開させていた。

オースティン氏は10回目となるインド太平洋地域への訪問でシンガポールとカンボジアを訪問。シンガポールでは31日から6月2日に開かれるアジア安全保障会議(通称シャングリラ対話)に参加し1日に演説。日米韓国防相会談なども行う。

カンボジアでは政府高官らと会談する予定だ。今回の訪問に関し米国防総省は「同盟国や友好国との関係強化」に向けた取り組みとしている。