枢軸を形成し西側を脅かす「中露朝イラン」、今後の国際秩序の行方を左右する6つの「スイング国家」とは

AI要約

中露国交樹立75周年を機に、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が包括的パートナーシップと戦略的協力を強化する共同声明を発表。

米欧に対抗し、多国間プラットフォームでの連携を強調。

また、中国とロシアの結束が強まり、北朝鮮、イランとの連携にも警鐘。

アジア太平洋における閉鎖的な同盟を批判し、エネルギー協力を強調。

台頭する中・露・北・イランの枢軸が米国の敵対勢力として位置づけられている。

また、中国がロシアの重要な生命線となっており、両国の結びつきは非常に深い。

西側の制裁にもかかわらず、中国からの輸入が重要な役割を果たしており、ロシアと中国の相互支援が強化されている。

18~22年における中国からの武器輸入の相互依存度が高く、枢軸の力関係が世界秩序に影響を及ぼしている。

 (国際ジャーナリスト・木村正人)

■ プーチン「アジア太平洋における閉鎖的な同盟は有害」

 [ロンドン発]中露国交樹立75周年に合わせ、中国の習近平国家主席とウラジーミル・プーチン露大統領は5月16日、北京で「新時代のための包括的パートナーシップと戦略的協力」の深化に向けた共同声明を発表した。プーチンは大統領通算5期目の初外遊に中国を選んだ。

 台湾問題やウクライナ戦争で対立が深まる米欧に対抗するのが狙いだ。習氏は「核心的利益に関わる問題で相互に支持する。両国は国連、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20など多国間プラットフォームで緊密な連携と協力を保ち、多極化と経済グローバル化を促進する」と表明した。

 プーチンは「共同声明はロシアと中国の関係の全領域を前進させるための新たな目標と長期的な方向性を定めている」として石油・天然ガスにとどまらず原子力も含めたエネルギー協力を強調。「アジア太平洋における閉鎖的な軍事・政治同盟は極めて有害であり、逆効果」と批判した。

 米民主党とのつながりが深いワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のリチャード・フォンテーヌ最高経営責任者(CEO)とアンドレア・ケンドール=テイラー上級研究員は中国とロシアの結束に加え、北朝鮮、イランとの連携に警鐘を鳴らしている。

■ 台頭する中・露・北・イランの枢軸

 両氏は米外交・国際政治専門誌フォーリン・アフェアーズ(4月23日)に「台頭する枢軸。米国の敵対勢力はいかにして世界秩序を覆そうと結束しているか」と題して寄稿し、ウクライナ戦争における中国、イラン、北朝鮮の対露支援はロシアの弱体化を防いだと批判している。

 フォンテーヌ氏は米国務省、国家安全保障会議(NSC)、上院外交委員会のスタッフを歴任、2008年ジョン・マケイン上院議員(共和党)の大統領選キャンペーンで外交政策アドバイザーを務めた。ケンドール=テイラー氏は15~18年、米国家情報会議(NIC)でロシアを担当した。

 両氏は「中国はロシアにとって最も重要な生命線。北京はロシアの石油と天然ガスの購入を広げ、ロシアの財源に何十億ドルもの資金を流し込んだ。中国は半導体や電子機器からレーダーや通信妨害装置、ジェット戦闘機の部品に至るまで膨大な量の戦闘技術を提供している」という。

 西側の制裁にもかかわらず、ロシアのコンピューターチップとチップ部品の輸入はウクライナ戦争が始まる前の水準に向けて着実に回復している。これらの製品の半分以上は中国から輸入されている。18~22年の間にロシアは中国の武器輸入の合計83%を供給している。